今日は特別だから、いつもと違う事をするの
いつものキャンドルを取り除いて
物置の奥にしまっていた箱の中から1本のキャンドルを取り出す
なんの変哲も無い色や形
外観だけなら全く同じもの
どう違うかは、火をつけてからのお楽しみ

これに火をつけて
手渡されたのは、辺りにあるキャンドルよりもよりシンプルなごく普通のもの
“特別”と強調する様なものには見えない
これのどこが特別なんだ?
内心首を傾げながら、手の中のソレをじっくりと観察する
キャンドル自体に何か仕掛けが在るようにも見えない
「どこが違うんだ?」
変わりばえのしないソレに降参する
返ってきたのは明るい笑い声と、火をつければ解るの言葉
首を傾げながら慎重に火をつける
キャンドルに炎が灯る
火をつけても別におかしな所は無い
すぐそばに揺れる炎をじっと見つめる顔
「ほら、見て」
声に視線が炎へと戻る
炎の色が違う
眼を見張り見つめる先でゆっくりと、劇的に炎が色合いを変えていく
「特別でしょ?」
再び色を変えるキャンドルに目を向けたまま、ゆっくりと頷いた

無言のまま、魅入られた様に炎を見つめる
ただ静かで安らぎに満ちた時間が流れた