また年が明けて、始まる新しい一年
私達の周りは、全てが発展途上だもの
今までの関係を大切に
今まで以上の関係を創り上げて
もう一度、初めの一歩を始めよう

年が明けたその日の朝
今日はお休みの日
各自が持つお仕事自体は休み
けれど、狭い聖地の中ではいつもと人達と顔を合わせるのは簡単なこと
………簡単っていうよりも、そのつもりがなくても、って言う方が的確かしら?
きらきらと光が降り注ぐ、柔らかな日差しの中を歩いていると
いつのまにか、同行者が入れ替わっている
簡単なあいさつの言葉を交わしたり
いつもと変わらない内容のお話だったり
たまたま行く方向が同じだっただけだったり
理由は様々
いつもは仕事の話以外は話さない人
顔を合わせることさえも少ない人
1日の中の僅かな時間で、様々な事を体験した
なんとなく嬉しくて
扉をいつもよりも勢いよく開ける
「ただいまっ」
声が少し弾んでいる
たまたま扉の前に居たアリオスが少し驚いた顔をした

年が明けたその日の夕刻
2人で聖地を抜け出した
………とは言っても、行き先はちゃんと告げてきた
行きついた先は夕暮れの聖地とは違う、星空の浮かぶ夜の光景
“冬”の季節のこの場所は、空から雪まで舞い散っている
凍える程の冷えた空気に、急ぎ足で近くのレストランへと飛び込む
暖かな温もりにほっと一息を着いて
どちらからともなく笑い出す
笑い出す理由なんか何処にも無い
ただ何となくのその行為が、不思議に心地よい
―――知らずに居た感覚
楽しげに話すアンジェリークの顔を目を細めて見つめる
店の外にはなおも降り続く雪の姿
地上からの淡い光を受けながら暗い空から舞い落ちる白い雪の姿は
何かを浄化するかの様に見える
ただの雪にそんな力がある訳は無いけどな
………いや、空気を綺麗にする効果くらいはあるか?
「なんだか、楽しそうね?」
間近でアンジェリークが嬉しそうにそう言った

そして深夜
語り合ったのは新しい1年の目標
少しずつ大切に、世界を創り上げて
そしてそれと同時に
少しずつ築き上げていく人々とのつながり
―――新しい二人の関係
今日一日だけでも幾つかの新しい発見
新しい何かを見落とさないよう
大切に過ごしていきたいと、そんな風に思う