何処からか歓声が聞こえる
暗闇の中、窓の外を降り続く雪
大きな花火が上がり
パタパタと走る足音が聞こえる
「あけましておめでとう」
声と共に飛び込んで来る姿
「おう、おめでとう」
返事をして二人をそれぞれ抱き上げる
楽しそうな声
嬉しそうに笑う笑顔
そして、扉の傍で微笑む姿
「「おめでとう」」
視線が合うと同時にこぼれ落ちた言葉が重なった

興奮した子供達が疲れ切って眠り
小さな身体を抱き上げてベッドへと運ぶ
毎年繰り返した作業
「大きくなったよな」
「大きくなったわよ」
しみじみと呟く言葉に笑いを含んだ声が聞こえる
レインの手が優しく子供達の髪を掬う
寝息を立てる顔をもう一度確認して、部屋を出る
「………それじゃあ、寝るか」
「そうね」
なんとなく手を握り
そして顔を寄せる
暗闇の中、窓のそとの雪は止んでいた

頬に触れる小さな温もり
目を開けば覗き込むように見つめる姿
「おはよう」
そう言って微笑む笑顔に、笑みを返す
『あけましておめでとう』
そんな挨拶をしたのは数時間前の事
倒れる様に眠り込んで
目覚めてすぐ見たのが彼女の顔
「また今年もよろしくな」
「こちらこそ、どうぞよろしく」
いつもの様に言葉を交わして
変わらない始まりが、小さくて大きな幸せ

 
 
 


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