いつもの場所、いつもの道
何気なく通り過ぎていた場所で
不意に1つの花が目に入った
あいつが喜びそうだな
脳裏にふと浮かんだ想い
理由はただそれだけ

いつもの用に息を切らして走ってくる姿
俺の姿を目に映し
安心したような、幸せそうな顔をする
無意識に浮かべるのだろう微笑みに心が騒ぐ
息を整え話し掛けようとするのを止め
訳も言わずに花咲く場所へと誘う
ほんの少し首を傾げ
不思議そうな問いかける言葉
曖昧な答えに、納得行かない様な事を言いながら
素直に後をついてくる
態度が示す信頼に心が暖められる

森の中の一角
木々に囲まれて存在する小さな草原
日の光が降り注ぐ一角に
小さな花が群生していた
葉に隠れるように咲くピンクの花びら
「……綺麗」
花のそばに跪き、アンジェリークが歓声を上げる
「そりゃ、良かったな」
投げやりなこえと裏腹に
アリオスが優しい笑みを浮かべた

草葉に紛れ静かに咲く
スミレの花
いつのまにかそばにあるその花が
誰かの存在に似ていると想った

 
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