あいつに似合いそうだな
たまたま目についたソレを見てふと思った
その場はただ、そう思っただけで立ち去ったが
戻ってから気になった
当然、ソレの存在を知らないあいつが身につけるはずも無い
しばらくの間悩んで
漸く行動を起こした

店を出て、苛立たしげに舌打ちをする
見かけた場所を手がかりに物を探しているが実物にはなかなかお目にかかれない
目を付けたものはどこででも売っているものではないらしく、知っているヤツが少ない
以前一度目にしたことはあるが、取り扱い自体はしていないとか、
そういったものを売っている店があると噂で聞いたことがあるとか
手がかりにもならない噂話だ
誰が造っている
なんて情報までは求めない
知りたい情報はどこで手に入れられるのか
買えさえすれば後はどうでも良い、んだがな
買い占めようなんてことはおもっちゃいねぇ
むしろ幾つもあったところで始末に困る
乱暴な手つきで、髪をかき混ぜると、人通りの多い大通りへと足を踏み出す
「面倒だな」
ざっと見渡した視界にさまざまな店が見える
物が物だ、全ての店を確認する必要は無いが、数はそれなりに多い
一軒一軒確認するのは流石に効率的じゃない
1人では限界があるが、手段を問わず情報を集めようとするならば幾らでも情報は集まる
手始めに、ここに駐在する王立派遣軍に向かえば良い
だが
誰かに手伝ってもらうってのは冗談じゃねーな
それに、探しだすのに期限があるわけじゃ無い
………無くなるようなら困るがな
ゆっくりと頭を横に振ると目に付いた店に向かってゆっくりと歩き出す
とは言っても、いい加減手がかり位は知りたいけどな
手が店の扉を開けた

手の中にある小さな包み
さんざんさがして漸く手に入れたもの
これを渡すのに都合の良いイベントが近い
適当な理由を付けずに済むのは好都合か
手にした包みをそっとポケットにしまった

夜、鮮やかな明かりの下
アリオスはテーブルの上に贈り物を置く
綺麗に包装されたそれにアンジェリークが驚いた顔をする
じっと見つめられる視線にアリオスは目を逸らす
「私に?」
疑問ではない確認の言葉にアリオスは微かな笑みを浮かべた