「ネ、今度サ………」
幾度か開かれた内輪ダケのパーティー
誰かが企画して
誰かを招待して
それがいつものスタイル
でも、いつもソレばっかりじゃ面白くない
―――ま、いつでもそんな感じジャないけど
「………っていうのも楽しいと思わない?」
ワタシの言葉に、アンジェが少し首を傾げる
「そう、かな?」
「ゼッタイ楽しいって」
「楽しい、とは思うケド………」
はっきりしない答えに、ワタシは問い質す
「だってね、――――――」
アンジェリークの言葉にワタシは思わず考え込む
「でもサ、ソレもソレで面白いかもヨ?」
しばらくの話し合いの末、ワタシは権利をもぎ取った

―――参加者本人が作った料理を持参すること
聖なる日のパーティー
レイチェルが発表した参加資格
持って行くような料理は出来ない
不参加の言い訳としては丁度良いんじゃねーか?
話を聞いた際に思いついたこと
当然それを口実に断わろうかとも思ったんだが………
アリオスは壁際に立ち、会場内を楽しげに歩く人達の姿を眺める
時折、友人達がアリオスの側へ訪れ
驚いた様に―――人によってはからかうように
声を掛けていく
彼らの問いかけはほぼ同じ
“何の料理を?”
「さあな」
楽しげにはぐらかすアリオスの様子に、やがて彼等は諦めた様に立ち去っていく
会場に入る条件は手作りの料理を持ち込むこと
ただし―――
「アリオスっ」
嬉しそうにアンジェリークが走りよってくる
「なんだよ?」
自然に腕が絡む
「何でも無いわ」
にこにこと笑いながらの答え
ま、答えは想像がつくけどな
肩を竦め、手を引かれるままに壁際を離れる
テーブルの上に置かれた料理の数々
料理に統一性が無いのは、ここは持ち込まれた料理のテーブルだからだろう
「ね、アリオスが作ったのって、どれ?」
期待に満ちた目でアンジェリークが見つめてくる
「………さあな」
一言、二言、文句を言いながらもアンジェは諦めた様に料理を口にした

「持ってきた料理は入り口で係りの人に手渡して貰えばイイから」
誰がどんな料理を持って来たのかは解らない仕掛け
レイチェルの言葉と期待を込めてこちらを伺うアンジェリークの視線
少し心を動かされる
「俺が、料理なんかできると思うのか?」
問いかけに、レイチェルは黙り込み
アンジェリークは何か言いたげな顔をする
料理を作ったことはないだろ?
「例え食べられないとしても、食べ物ならイイんだからサ」
「………それはちょっと、ダメじゃないかな」
まったくだぜ

料理はあらかた片付けられた
パーティーも終わる頃誰が何を持ち込んだのか自然に話し始める
最後まで、教えなかったのは数人
当然アリオスは最後まで何を持ち込んだのか明かさなかった