賑やかに
けれど控えめに
飾り立てられた街並み
煌々と辺りを照らす色とりどりの明かり
もうすぐ深夜0時になろうとする時間
いつもなら人々は家の中に入り
街中を歩く人々はほとんどいない
けれど今日は道を埋める程の人の姿
いつもの、日中の人出よりも多い人の群れ
誰もが楽しげに歩き、語り
道端に用意された様々な飲食物に手を伸ばす
どこか浮き足だって歩く人々の耳に、鐘の音が聞こえた

まるで爆発したかの様に上がる人々の声
一斉に上がるおめでとうの声
あちこちで鳴らされるクラッカーの音
遠くで祝砲が上がる
今までとは打って変わって賑やかな様子にラグナは窓の外へと視線を向ける
「おー年が明けたな」
年に一度
一年の最初の日
最後の日から最初の日へと変わったその瞬間
人々は祝いの声を上げる
「そのようだな」
側を通り過ぎるキロスが、ちらりと窓の外へと視線を向ける
「んじゃ、挨拶でもしてくるか」
夜が明ける迄続く祭り―――馬鹿騒ぎは、逆に言えば夜が明ければ終わる
一晩中飲んで騒いで、祭りが終われば人々は眠りにつく
新たな年の始まり
人々が交わすお祝いの言葉
親しい人々の間で交わされるそれは、儀礼的にも交わされる
まだ人々が起きている間
まだ新年を祝う祭りが続いている間
主立った人々と新しい年を無事に迎える事が出来たことを喜ばなければならない
「めんどうだなぁ」
どうせならあの馬鹿騒ぎの輪の中に加わった方が気は楽だ
『がんばれよ』
自分には関係ないとばかりに、ウォードが手を振る
「あのなぁ」
軍関係への挨拶はウォードだって必要だ
「君も来たまえ」
ラグナが口を挟むよりも早くキロスがウォードの肩を叩く
ため息と共に、ゆっくりと首が振られる
「仕方ねぇだろ」
ラグナ自身もやりたくてやってる訳じゃない
それに、な
この騒ぎの中一人だけ仕事をしてるなんてのは悔しいだろ?
「ま、一連託生ってな」
ラグナが扉を開ける
静まり帰った廊下の先から人々のざわめきが聞こえてきた

早朝、祭りの騒ぎが終わり
人々が寝静まる頃
大統領官邸の通信室が活気づいた