オペラ座


 
渡された台本
そして、大騒ぎの上で、着替えさせられた衣装
ほんの僅かな時間で、用意された台本を覚え、決められた演技をする
セリスは、分厚い台本を見て、ため息をつく
元々演技をする事自体が得意ではない
「セッツアーが現れるまでの事だから……」
きっと、舞台が最高に盛り上がったその瞬間を狙って現れる
だから、セリスが出るのは、舞台が盛り上がるほんの僅かな間、舞台の山場となるその場面
セリスは、懸命に台詞を覚え、歌を覚え……
そして、打ち合わせ
僅かな時間はすぐに経過して、今は本番前
必死で心を落ち着かせようと、努力を重ねる
大丈夫だから、それに私がしっかりしないと……
舞台では、順調に進行している
次第にセリスの番が近づいてくる
そっと、幕をめくりセリスは舞台をのぞき込んだ

扉がノックされ、開かれた
「セリス………」
一声かけて、ロックは唖然としたようにセリスを見ていた
ほんの少しの間流れる、静かな時間………
不思議な空気は、ロックの言葉でうち消された
「おまえ…こんなにきれいだったっけ」
この言葉は、ロックがセリス自身をしっかりと見ていなかった事につながる
そう、セリスは感じた
疑問、そして奥底に潜めていた感情
聞こうと思っていて、聞けなかった言葉がセリスの口からこぼれていた
なぜ?
ロックは、答えない……
はぐらかされる言葉
舞台から賑やかに声が聞こえる
「そろそろ出番だわ。ドラグゥの安否を気遣うマリアが自分の思いを歌にする大事なシーンよ」
セリスはしっかりとロックを見つめる
……そう、思いを歌に………
視線が逸らされる
簡単なアドバイスを残して、ロックが立ち去っていく
「思いを込めた、歌……」
舞台袖に向かいながらセリスは静かに呟いた

そして、セリスは舞台へ立った
人気役者の講演
セッツアーに狙われているという話題の講演
セリスは思いを込めて歌った
 
 

いとしの あなたは
とおいところへ?
いろあせぬ とわのあい
ちかったばかりに

かなしい ときにも
つらいときにも
そらにふる あのほしを
あなたとおもい

のぞまぬ ちぎりを
かわすのですか?
どうすれば? ねえあなた?
ことばをまつ

重ならない想い、重なる想い……
理解できるようで、理解できない
わからないようでいて、想いがわかる
 
 

ありがとう わたしの
あいするひとよ
いちどでも このおもい
ゆれたわたしに
しずかに やさしく
こたえてくれて
いつまでも いつまでも
あなたをまつ

私には、明確な想いはまだない
こんな風に想う時はくる?
まだ、私は答えを貰えない
答えを手に入れたら、何かが変わるのかもしれない…………

悲しく歌う声と、寂しげな態度は、人々の注目を集めた
次の一幕、張りつめた緊張の中、当初の目的通りにセッツアーは現れた
 
 

 
END

歌詞:SQUARE/協力:秋葉さん