全てが終わり
また新しい時が始まる
終焉に向かっていた世界は、再生を迎える
彼等は、塔が崩れ落ちるのを見届け、それぞれの居場所へと戻った

かつて、塔が立っていたその場所を朝日が照らしていた
小山のように広がった瓦礫の山
空から見る光景は、その場所だけが異質である事を主張している
セッツアーは、飛空艇の中からその光景を見ていた
「いやなものが残ってるな」
セッツアーの手の中から1本のダーツが放たれる
誰も近寄りたくないってことか
軽い音を立て、ダーツが的へと突き刺さった
飛空艇はじょじょに速度を上げる

遠い昔にも思える様な昔
共に旅をした仲間がいた
個々の目的は違っていても、同じ目的を持った仲間達がいた
船の中もずいぶん賑やかだったときの事
今は、それぞれがそれぞれの場所で、生きている
滅多に会うこともない仲間達
彼等は新しい世界で、新しい目的と生活を始めている

セッツアーは気ままな空の生活を続けていた
旅の途中、舞い降りた小さな村で、かつての仲間達の噂を耳にする
それは活躍だったり、平穏な日々だったり……
決して会いに行く事はない仲間達の噂
噂を聞く度に、セッツアーは自分でも気付かない程微かな笑みを浮かべる

幾度目かの季節が巡る頃、立ち寄った町で一通の手紙を受け取った
何も書かれていない真っ白な封筒
そのまま捨ててしまうはずのそれを、開いて見たのは偶然だったのかもしれない
こぼれ落ちたのは一通のカード
書かれていた言葉は、ほんの一行だけ
見覚えのあるその文字にセッツアーは笑みを浮かべた

かつての仲間の新たな旅立ちの為に
仕組まれた宴の為に
飛空艇は目的地へ向かって飛んでいる

END