再会


 
――――旅に出た
『俺が留守番してるからさ』
そう言ったロックの言葉に甘えて、村に落ち着いて以来初めて旅に出た
『セリスだって、行きたいところがあるだろ?』
ロックの言葉の通り、行きたい処があったから………
話に聞いていた世界を、私はゆっくりと歩く
目的地に向かって少しずつ
ゆっくりしてこいとはロックの言葉
………その言葉に従っているつもりは無いけれど
『ま、急ごうと思っても無理だろうけど』
……本当にそうね
新しい世界は、様々な物に溢れている
復興した世界で初めて出現したモノ
崩壊していた世界で、人々の命をつないだモノ
そして、それ以前から存在していたモノ
珍しいもの、見たことも無いもの
目に入ったモノが、全て珍しくて、足が止まってしまう
目的地へ向かうはずの足が、ついつい止まってしまう
そして、目的地以外の場所への寄り道

行きたい所もあったけれど、会いたい人もいた
旅の途中、うわさ話を聞いた
空を行く、飛空艇の話
復興しようとしている、ドマ国の話
耳に入るのは、仲間達のその後の様子
はじめはほんの少しの寄り道
そして、最後には………
ロックの予言があたったのかしら?
結局私は、みんなの元を訪ねていた

「お客さん、そろそろだよ」
船長の声で、我に返った私の目に、遠く島影が見えた
……私の本当の目的地
人々に忘れ去られた小さな島
遠い記憶の中にある砂浜へ船は入っていく
「迎えは本当に2日後でいいのか?」
「ええ、2日後にお願いします」
普段は船も通っていない島
「住む人間がいなくなった島だ、どんな魔物がいるかわからねぇ………」
「ありがとう、でも、私は大丈夫」
船長に腰の剣を掲げてみせる
「だけどな……」
私は、船長にお礼を言うと、荷物を持って船を下りた

朽ち果てた小さな家で、セリスは目を閉じる
浮かんでくるのは過去の情景
ほんの僅かな時間
ここには、もう1人の家族が居た
「ずいぶんこなくってごめんね……」
ひっそりと佇む墓標の前、セリスは持っていた薔薇の花を捧げた
「あの後いろいろあったの……」
ケフカを倒した時、報告に来て
それからどれだけの月日がたっただろう?
「………みんな幸せに暮らしてる」
シドの墓標へとゆっくりと語りかける
あれから何をしていたのか、最近どんな事があったのか……
「おじいちゃん、私ひとつどうしても報告しなければならない事があるの、あのね………」
幸せそうに微笑んで、セリスは長い間シドと話をしていた

END