友人


 
雑務に追われる日々の中、ラグナ達は久しぶりの休暇を手に入れた
役職の所為もありなかなか取れない休暇、それも3人揃っての正式な休暇は数年ぶりになる
国内外の情勢や、個人的な事情も落ち着いたこの時期、ラグナのたっての希望により、友人の元を訪ねる事にした

ここはエスタ国内とは名ばかりの国のはずれ、広大な森が広がる北の大地
いつもは静かな森だが、今日は賑やかな声が聞こえている
「確かエスタ国内へ行くと聞いていたと思ったが……」
鬱蒼と生い茂る木々を見上げ、キロスがため息をつく
どこに行くつもりなのか、はっきりした事を教えられないまま、ラグナに引きずられる様にしてこの場所まで連れてこられたのだが
「なんだよ?別に嘘は言ってないぞ?」
巨大な木の下に作られた小さなテーブル
無造作に置かれた取れたての果物に手を伸ばしながら、のんびりと雑談を交わしている
『近所だって言ってなかったか?』
釣り上げたばかりの魚が焼ける良い匂いがする
「充分近所だよな?」
ラグナの問いかけに、手みやげの焼き菓子を頬張ったまま、ムンバが一生懸命、何度も頷く
木の葉に遮られ、強い日射しが柔らかく降り注いでいる
「近所と言うのはエスタ市周辺の事を言うものだと思っていたが……」
テーブルの上には、ムンバの心づくしの食事が並んでいる
「いいじゃねーか、こうして歓迎してくれてるんだし」
それに、いつもよりは充分近所だろ?
サヤサヤと、静かに風が森の奥へ渡っていく
森を流れるせせらぎの音が聞こえる
『別に喧嘩はしていないぞ』
不安そうに、三人の顔を見渡すムンバを見て、ウォードはこっそりと心配いらないと合図を送る
「それはまた、違うと思うが……」
ため息をつくキロスの目がムンバのそれと合う
ムンバがほんの少しだけ首を傾ける
近くで鳴き交わす長閑な鳥の声が聞こえた
ムンバに咎められた様な気がして、キロスは不自然に口を噤んだ
キロスのそんな様子に、ムンバはそれで良いとでもいうように胸を張る
その様子に、ラグナとウォードは思わず吹き出していた

ゆったりとして穏やかな雰囲気が辺りに満ちている
ほんの数日の短い休暇
遙か昔の約束で言ったように
    お腹一杯ご飯を食べて
    それから、ゆっくりと昼寝をする
そんなのんびりとした時間を過ごした
 

END