火種6
1年の周期が終わる
バラムガーデンで数えられる区切りの時
時を迎えた生徒達がガーデン生では無くなる日
バラムガーデンには“卒業”という概念は無い
ガーデン生はガーデンに“所属”しているものであり、年齢が来ればその所属がはずれるだけ
SeeDに成れなかった者はひっそりとガーデンを去っていく
そして同じ日、SeeDとしての期間を終えた者はガーデンを巣立つ
それはバラムガーデンの始まりから繰り返されてきた光景
以前の学園長はそうあるべきとして
その形を造り、変更する事は無かった
新しい責任者達は―――
「これでバラムガーデンともお別れやね」
故郷に戻る事を決めているセルフィが感慨深げにガーデンを見つめる
「そうだね」
いつもと変わらず嬉しそうにセルフィの言葉に同意するアーヴァインの姿
友人であり、幼なじみでもある彼等はガーデンに残る選択をしなかった
「寂しくなるわ」
シド学園長からバラムガーデンを引き継いで
途惑いながら皆でガーデンを運営してきた
ガーデンの運営にはまだまだ課題も残っている
皆で真剣に取り組んで来た
だからこそ、
誰か一人くらいはガーデンに残る選択をするんじゃないかって、そう思っていた
「今度遊びにおいでよ」
「連絡するから」
キスティスの言葉に
笑顔で告げられる言葉
そうね、バラムガーデンを離れたからといって縁が切れる訳ではないわ
「機会があれば遊びに来て頂戴」
「何かあったらすぐ連絡してな」
すぐ駆けつけるから
そう告げるセルフィの言葉にキスティスは笑顔で頷く
親しい友人達がガーデンを巣立つのは寂しい
けれど彼等だけが友人という訳では無いわ
キスティスは自分と同じように別れを惜しむ人々へと視線を向ける
ガーデンに残り
ガーデン内の職に付くことを決めたSeeD達
心強い同僚
それに………
背後からゆっくりと近づいて来る気配にキスティスは道を開ける
「いよいよ巣立ちの日ですね」
ママ先生とシド元学園長が彼等1人1人へと声を掛ける
別れを惜しむ言葉
「ここを巣立っても、君たちならきっと上手くやれます」
そんな言葉を贈られて、彼等はガーデンを後にした
ガーデンを去りし者
以後ガーデンとの関わりは無くなるものとする
そんな規則があって
それが既に施行されている事に
まだ、気が付いていない
End
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