火種7


 
ガルバディアに動きが見られる
バラムに対して警戒を強める動き
それとほぼ時を同じくしてバラムに見られた動き
密かな兵器の買い付け
予測した通りガルバディアからの購入は無い
だが、取引主を巧妙に隠した
―――隠そうとした
取引が持ち込まれた

「さて、どうするかな?」
楽しげな様子は良く見慣れたもの
バラムがエスタから直接武器を買い付けるのははばかられる
それならば仲介してもらえば良い
ま、それ自体は良くある話だ
「露骨だよな」
気が付かない筈の無い取引
適当な仲介相手が居なかったとしてもあまりにもわかりやすい選択
エスタはバラムガーデンと近しい
ここ最近世界で認識されていること
だが、それが“真実”だとは限らない
実際に事実とは言い難いしな
「それだけ懸念事項ということだろう」
だろう、な
バラムからガーデンを追い出すのは良い
だが、そのガーデンの移転先は問題
既にガーデンが存在している2国
その地に新たなガーデンとして移る事は考え難い
エスタが事実バラムガーデンと親密だというのなら、丸ごと受け入れる可能性も考えられる、か
実際にそんな事をするってのは愚の骨頂だろうけどな
「問題にならない程度に売ってやるしかないだろうな」
こっちは、バラムガーデンと仲良くするつもりはない
独自の技術を外に出すのは問題だが、おかしな想像をされるのは困るからな
「二世代程度前のもので何処にでもあるものなら問題は無いでしょう」
補佐官の言葉に同意が示される
「その辺りの事は任せる」
後は全部任せたの気持ちで軽く手を振る
「解りました」
わざとらしいため息を吐かれるが
ま、それもいつもの事だ
「で、物を買い始めたって事は入れ物は用意できたってことだよな?」
ラグナの言葉にバラムの地図が映し出された

安堵の息が漏れる
エスタからの兵器の買い付け
それは一種の賭だった
「ですが、エスタがガーデンを取り込む意志がないとは言い切れない」
取り込むつもりがあるからこそ、バラムからの移転を狙っている
その可能性は勿論ある
「だが、邪魔をするつもりは無いのだろう」
バラムはガーデンを切り離す
先の戦いの後、検討を重ねて出した結論
密かに進めてきた準備をエスタは気付いているが、なんらかの手を打つ様子は無い
バラムガーデンへと何かを告げる様子も見られない
警戒を怠る訳ではない
「今はそれで良しとしよう」
今はただ体制を上手く移行することだけを考えよう
 

 End