火種12
 

 
世界にガーデンは3つ存在している
ただ
3校は同じ“ガーデン”の名を冠してはいるが、それぞれが独立した別の組織
協力関係にある姉妹校ではあるが、経営は全く別
だからこそ
トラビアガーデンは、国の1機関であり
ガルバディアガーデンは軍の養成機関として存在している
バラムガーデンは、バラムとは直接的な関わりは無い
関わりをつけるとするならば、委託機関
国とは直接的な関わりの無いただの1機関だ
だから、バラムはバラムガーデンのあり方に口を出さない
当然バラムガーデンは、バラムに対し、何かを要求出来る立場には無い

SeeDに対する依頼が減った
大きな争いが無くなった世界ではそれも当然のこと
予想していたとはとても言えないが、それは考えれば仕方の無いこと
幸い───と言うべきなのか───ランクの高いSeeDはガーデンを卒業した為、給与として払う額が減った為さほど影響は無い
ただ………
入学者の数が減った
そして、バラムからの討伐依頼が減った
人同士の争いは減ったが、モンスターの数が減った訳では無い
モンスターは相変わらず人々を襲い
人々は身を守る為の力を必要としている
だから、バラムガーデンは必要
そうだったはず

「援助を申し込んだらどうかしら?」
先の戦いの影響
今の所平穏を保った世界からはガーデン宛ての依頼が少なくなった
今すぐ困る訳では無い
資金が全く無くなった訳では無い
けれど、明らかに減っていく資産は不安をあおる
今のうちにどうにかしなければ、と気持ちが強くなる
そんな時に誰かがつぶやいた言葉に、彼等は飛びつき様々な所へと援助を願った

「良い返事はもらえなかったわ」
ここ最近、幾度となく告げた言葉
バラムやエスタ、そして姉妹校である2つのガーデンからも色よい返事は無かった
「トラビアガーデンは資金的に難しいでしょうね」
かつて破壊され、再建の為の募金を求めていたことを知っている
「ガルバディアは………」
途中まで言いかけた言葉を飲み込む
ガルバディアは、かつて敵対した組織
「簡単に元の関係には戻れないわね」
それにあの戦いの中でガルバディアガーデンも被害を受けている
こちらに回す資金の余裕はないかも知れないわ
幾つか言葉を交わし、彼等は深く息を吐く
「もう一度話をしてみましょう」
まだ時間はあるのだから

周りの状況が変わっているコトを知るのはもう少し後の事

 End