火種14
 

 
報告書に付随していた映像には、バラムのニュースが収録されていた
大々的に宣伝された“バラム軍”の設立
「完成したか」
あくまで自衛の為
そう主張するのは各国への牽制もあるだろうが、実際の所“軍”相手の戦争が起きては困るからだろう
「ま、ガルバディアにもトラビアにもそれだけの力はないけどな」
ガルバディアは前大統領のお陰で国内が混乱している
彼がやらかした事のお陰で、今現在は軍も良い感情を持たれていない
トラビアは国や軍そのものに被害は無いが、ガーテンの全壊が少しばかり尾を引いている
それにあの地はここと同じように、バラムとは山で隔てられている
山越えをしてまでわざわざ攻め入る理由もないだろう
元々バラムは自国が守られれば良いと考える国だ
積極的に外に打って出る事は無い
それはガルバディアも解っているはずだ
今わざわざ攻め入るだけの理由は無い
それに、今はまだあの場所には“ガーデン”がある
2つもの軍を相手にしようなんて所は無い
「いつ気がつくだろうな」
利用されるだけの己の姿に
そのときが来れば、切り捨てられるだろう立場に

SeeDへの仕事の要請
そしてバラムガーデンへの仕事の依頼
バラムガーデンへの派兵の依頼はこの所無い
それは大規模な争いの無い今では仕方の無い事
SeeDへの依頼の方も規模の大きいものは無い
けれど、要人警護といったさほどランクの高く無いSeeDへの依頼はそれなりに来ている
「高ランクのSeeDは残ってはいないから問題はないわね」
バラムガーデンの財政を圧迫しているのはSeeDへと払われる給与
一定期間毎に払われるそれは、ランクが上がる程高額になっていた
実際は、高ランクのSeeDが全く残っていないわけではないけれど
残った高ランクの一人がキスティスであり、キスティスが現代表の一人である事を考えれば、居ないと言っても間違えでは無い
依頼をSeeDごとに振り分ける
「SeeDがなかなか誕生しない理由がわかるわね」
実力が最優先
真実は勿論そうだけれど
お金がかかるから、なんていうのは事実では無いけれど、それが理由だなんて、言いたくもなる
“魔女”を倒すこと
それがSeeDの存在理由
倒すべき“魔女”は未来に存在して
つい最近私達が“魔女”を倒した
…………………
「キスティス、ちょっと良い?」
浮かびかけた何かが、かけられた声に消える
「ええ、何か問題でも起きたかしら?」
慌ただしい彼女達の様子に、その何かは気持ちごと飲み込まれていった

あのニュースから数ヶ月後、
エスタへバラムから非公式の使者が訪れた

 End