食事 

少しばかり口寂しい
なんとなく思った事
少しばかり考えて
簡単につまめるモノを探す
冷蔵庫を開けて、そのまま食べられるものを幾つか取り出す
………なんか違う気がするなぁ
“何か”を食べたいとは思ったが、どうやらソレが何でも良い訳では無いらしい
少し考えて、食品棚へと目を向ける
置いてあるお菓子の数々
「甘いモノってのも違う気がするんだよな」
かといって、塩気のあるものって訳でも無い
食事をしたい訳でも勿論無い
程良く甘みがあって、ちょっとつまめる程度のもの
「なかなか解りにくいよな」
どんなものが良いってのが
上手くイメージにならない
「とりあえずしゃーねーか」
わからないものは考えても仕方が無い
どっちにしろ、今ここに無いモノを食べたいと思ってもどうにもならない
わざわざ買いに行くまでも無いんだよな
そこまで執着して食べたいって気分でも無い
どっちかって言うと、食べれるのならって所、か?
悩みながら、ちょっとした食べ物を追加する
自分のことながら、良くわかんねぇな
「そのうち思いつくか」
まぁ、思いついた頃には、食べる気もうせそうだけどな

「なんかつまめるものって思うんだけどな」
腹が減る
までは行かなくとも時折何かを食べたくなる時ってのは必ずある
適当に見繕って
適当に口にして
まぁ、満足とは行かなくともそれなりに納得していた
けれど、毎回適当に選んでいた結果、“これじゃない”感が残った
その時々で“甘い物”だったり
“塩気”のあるものだったり
“辛み”が欲しかったり
“酸味”が欲しかったり
その時々によって違いはあるものの、どれも満足には至らなかった
「世の中のあらゆる食べ物を少しずつ食べる機会でもあれば別なのかもなぁ」
そうすれば自分が望んでいたものが何なのかが解り、満足する事も出来た
………かもしれない
ま、そんな事は不可能だってのは良く解って居る
とりとめもない事を思いながら
チーズをひとかけら口へと入れる
あーー、堅いモノが食べたい気分だったかもしんねぇな
求めていたのとは違う感触に少し考え
考えた末にクラッカーを口にする
「その内不満が溜まりそうだな」
文句を呟きながら、ゆっくりとかみ砕いた

あれから随分歳月が流れて
最近は“何か”を食べたいという曖昧な欲求が少なくなっていることに気が付く
「満足してるってことかな?」
毎日の様に用意された食事
共にあることで生まれる会話
きっとたぶんそういうことなんだろうとそう思う

 End