歳月 
      
      
      
 
      
      過去を垣間見る力 
かつて、エルオーネの能力を聞かされたとき 
“そんなことで”と憤った 
そんな事であの平穏な日々は壊されたのか 
そんな事で続いたはずの未来が壊されたのか 
そう、私達は憤った 
それから時が過ぎて 
エルオーネが自分の力でやろうとしていた事 
“過去”を改変しようとしていた 
そう悪びれること無く報告され 
『過去は変えられなかった』 
と残念そうに報告され 
何とも言えない気分を味わった 
過去が改変される 
それは私達が歩んだ時間がなかった事にされるという事 
あの時の苦しみも 
あの時の怒りも 
あったはずの喜びも 
すべてが無かった事になる 
だが、改変が行われれば 
後悔している出来事がなくなるのかもしれない 
それは、喜ばしいこと 
だが……… 
複雑な感情が渦巻いた 
過去を改変しようとしたのが“彼女”だったから余計複雑な気持ちになったのだろう 
これが、純粋な被害者であるスコールならば、また違った感情を抱いただろうか? 
元凶の一人であるというのに、まるで被害者であるかの様な彼女の言葉に、多少態度が意地悪になったとしても仕方ないことだとは思わないか? 
まぁ、そうはいっても私も良い大人だ 
態度に出すことは無い………出来ない 
私も年をとったと言うことだろう 
昔のようにただ前を向いて歩くことが出来なくなった 
柔軟さを失い 
変化を求めず 
ただ同じ様に続く毎日を望む様になった 
だから、波風を立てる様な事はしないだろう 
ただ、そんな感情を抱いたというだけの事 
………ただ 
もしも、私がこの記憶を持ったまま、過去に紛れ込むような事があれば 
きっとその時は、過去を改変しようとするのだろう 
だから解らない訳では無い 
彼女の気持ちも彼女がやろうとした事も 
だから、私はただ見守ろう 
まぁ、こちらに被害が及ばない限りは、だがね 
      遙か遠い未来 
誰もが忘れていた機械が動き出し、物語が巡る 
      
 
      
      
 
      
 End 
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