勘違い

何事にも向き不向きというものが存在する
向いているか、向いていないかはやってみなければ解らない
………とは言うものの、実際にはやらずとも明らかに向いていないという代物は存在する
それは、自然と本人が理解するものであり
そうで無くとも、身近な人達がそれとなく告げるものだったりする筈だ
………普通ならば
その明らかに向いていない人物がどういうわけか、紛れ込むことが数年に一度くらいは起きる
紛れ込んだのか、他の職業だったらまだ良いんだろう
───その職に就く人達は明らかに迷惑を被るだろうが
だが、直接命のやりとりに関わる職にそういうのが紛れ込むって言うのはダメだろう
早急に改善する様に指示を出したのは当然のことだった

鋼の打ち合う音
火薬がはじける音
訓練場でそれぞれが持つ武器が踊る
彼等の動きを横目に見ながら、自分も武器を手に、する
幾つかの武器を手に持ち、選び直してようやく1つの武器を選ぶ
以前教わった通りに構えて、振る
何かが違う
そんな気がして、もう一度
何度か習った筈の型をさらって
………うん、きっとこんな感じ
上手く出来た、出来てる
そう満足して、次に移る
周りの奴等が早々に決める中、得意な得物は決まっていない
どれも同じ様に操ることが出来るから
もう少しじっくり選んでも大丈夫
“一番得意なモノをみつけるように”
ってそう言われたばかりだ
別の場所に並ぶ銃器へと目を向ける
次はアレにしよう───
1つずつ手に取り品定めをする
より上手く扱えるもの
───重くないものを

もう二度と足を踏み入れることの無い訓練場を後にする
自信を持って挑んだ試験はことごとく不合格
訓練を重ね、模擬戦を行い、手合わせをして
自分の実力が足りないことを思い知らされた
「自信はあったんだけどな」
それなりに実力はあるとそう思っていた
「上には上が居るってことなんだよな」
ため息とともに呟いた
 

 End