原因

書類には、10年ともたないだろうと記載されている
先日とある機関からあがってきた推測
その予測に、
それほど長く持つのか
と思った
もっと早く無くなる
そう予測を立てていた事
それから
早く無くなってしまえば良い
それが偽りない思い
回されてきた資料を目にし、大部分の者が同じ意見を口にした

来る筈の無い場所から何度目かの通信が届く
当然、相手にする事は無い
来る筈の無いもの
そういうのは無かった事になる
幾つかの指示とともに通信が繋がること無く切られる
以後、この通信先から通信が繋がる事は無い
既にあの場所に大切な存在は居ない
「なんで手助けしてもらえるなんておもってるんだろうなぁ?」
“あの場所”を好意的になんて見るはずが───みれる筈がないこと位ちょっと考えれば解るものだろう
それを理解出来ないから、こうして連絡を入れるんだろう
もっともな言葉に肩を竦める
「だが、そろそろ気がついても良さそうな頃だと思うがね」
協力を求める相手を間違った事
“場所”を考えるなら、真面目に声を掛けるのはバラムが順当な所
そもそもがバラムという国に建設しており、バラムには軍が存在していない、今までと同じ様に存在するのなら、バラムに声を掛けるのが一番だった筈
援助を求める相手を間違った事
 “魔女”という存在を好意的に受け入れる事ができるのならガルバディアが順当な所
最も最近“魔女”の存在に国単位で触れ、“魔女”の悪意に触れる事無く恩恵を受けたといえる国だ
魔女に深く関わる場所でも受け入れてくれる可能性は高かっただろう
ただの“顔見知り”だという事実を“親しい相手”と曲解したこと
彼等はただ単に子供達の知り合い───友人───という存在だ
こういっちゃなんだが、俺自身には特に思い入れも何も無い
個人なら考えたかもしれないが、“組織”はダメだ
“国”を“個人”と勘違いしたこと
“大統領”なんてふざけた役職についてはいるが、所詮はただの役職の一つだ
 国の決定をなんでも好き勝手出来る独裁者とは違う
……最も、たとえ好き勝手する事ができたとしても、あそこにだけは手をさしのべる事は無いけどな

『そろそろ手遅れだと思うがな』
確かにその通りだ
協力を求めるにも、援助を求めるにも時期が過ぎた
高い山を隔てているとは言え、時刻を無視し隣国へとアプローチを続ける相手を良くは思わないだろう
停戦を結んだとはいえ、先頃まで戦争を仕掛けた相手へと援助を求める組織は仮想敵として処理されるだろう
「もったところで10年か」
彼等は、最初から相手を間違えた
バラムガーデンは深く“魔女”が関わった組織
“魔女”に対し最も嫌悪を持つ国がエスタだ
まして、バラムガーデンは“魔女”を“子供達”に守らせる為に作られた組織
エスタの歴史を考えれば、協力などするはずもないことは察する事ができるはず
「彼等も洗脳されているのだろうからね」
“魔女”という存在を守るということ
“魔女”という存在と戦うということ
“魔女”の為の良い道具であること
「幼い頃からそれが当然として教育してる訳だからな」
“魔女”そして“子供”
この2つのキーワードだけで、エスタでは忌まわしい過去が思い出される
“魔女”アデルによる“子供狩り”
理不尽に子供を奪われる
そして、その子供達は“魔女”の道具とされる
子供を奪われ、勝手に道具扱いされて怒らない親がいるか?
バラムガーデンという組織が消えるのにはそれほど長くはかからない
それに
「未来の世界では。バラムガーデンって組織は無くなってるみたいだったしな」
たぶん、きっと確実に訪れるだろう未来の世界
それは未来から来た“魔女”の言葉から推測出来て
未来を垣間見たスコールの言葉からも推測出来る
バラムガーデンは滅び
何者かの手で細々とSeeDのみが続いて行く
「全ては予定調和という訳かな」
「それはしらねぇけどな」
未来がそうだから、行動した訳じゃない
ただ、話を受け入れる理由も必要も無かった
ただそれだけの事
しいていうのなら
「何もかも間違えたってことだろうな」
バラムガーデンの判断ミスが滅びへと繋がるって所だろう

 End