交渉

かつて、ガルバディアに対して仕掛けたのはエスタ
この度、エスタに────世界に───対して争いを仕掛けたのはガルバディア
国交を開いた事により政治的なやりとりが必要になった
当初、ガルバディアは過去の事を持ち出す事で上手く納めようとしていた
もしくは、ガルバディアガーデンに、“魔女”に全てを押しつけようとしていた
“魔女”の仕業
それを言い訳にするならば、かつてのエスタの状況も同じ事
そして状況を考えれば、エスタは“魔女”を倒し、政治基盤を一新する事に成功している
対してガルバディアは?
さらに告げるならば
エスタの現在の大統領───トップ───は“ガルバディア”出身だと言うこと
現在のガルバディアの上層が、その人物を知っていたということ
元ガルバディア軍兵士
その経歴がガルバディア自身によって証明された
だから
過去、魔女に支配されていたエスタ上層部は一掃された
この事は偽りの無い真実だと保証される事になる
時代は違えども、自分達の立場は一緒
そう交渉するつもりだった彼等の言葉は、彼等自身で封じられた
苦肉の策で探して来たのは“魔女”の存在
ガルバディアに組した“魔女”の正体と立場
関係のある人物の筈
バラムガーデンとの関連性
“子供達”との関わり
調べ上げて譲歩を迫った彼等に向けられたのは
“エスタ”とはなんら関わりの無いこと
たった一言、拒絶の言葉
“親しくさせて貰っている”
そう告げられた筈の言葉
かの大統領と深い関わりを持っている
………はずだった“魔女”とバラムガーデンの子供達
エスタの言葉に慌て、改めて調査した結果
求められ、請われ、“魔女”の討伐の為に行った協力が一度
あの件が片付いてからは、他の国と大差のない範囲での依頼のみの関わり
むしろ、他国よりも少ないかも知れない
───ただ一人との関わり以外では
過去に遡って集めた情報
“魔女”を嫌う理由
様々な理由の他に考えられる
“個人的”な感情
個人の思いが国の決定に反映されるなどあってはならない
そう声高に声をあげる事もできない
自分達が個人としての感情を利用しようとした
そんな事は大した問題では無い
その感情が、個人の感情では済まなくなっているという事
“魔女”達が行った行為が、彼等に等しく嫌悪を与えたという事
───こちら側も、同じ気分を味わった事
誤った情報を最初にもたらした彼等に毒を吐きながら、諦めに似た気持ちで交渉に望む

交渉成立後
私達に残されたのは“魔女”に対する嫌悪感だった

 End