産業

どうせ増えたのなら、何かの役に立たせよう
そう考えるのは、人間の心理として当たり前のこと
だから、模索し、使われ
次第に拡大した需要
必然として数を増やし
そしてまた、新たな使い道が見つけ出される

チョコボの背中に乗る
そんな移動手段がある事は、だいぶ前に聞いていた
チョコボの背中に乗って移動する様子も、遠目にだが見た事はある
その時の感想は、随分バランスが悪そうだ、だった
まぁ、チョコボもモンスターには変わりが無く
思っていたよりも随分速いとは思っていた
………まぁ、それに乗ってみようってのは、その時は思いもしなかったが
増え続けるチョコボをどうするか
そんな議題が上がったのはそれから随分経った頃の事
そういや、そんなんも居たなぁ、なんてのんきに思ってはいたが………
繰り返すが、チョコボもモンスターってことに変わりは無い
モンスターってのは、生命力が強い生き物で
まぁ、気を抜けば増える
増えたからどうにかして欲しい
簡単に言えばそんな内容に、とりあえず見てみるか
なんて心境で向かった牧場

「………多いな」
増えすぎた為か、応急処置的に拡大された柵
元々が何も無い荒野だったのだから、どこまで拡大しようとそれは別に良い、良いんだが
「端が解らないな」
見えないって訳じゃない、かうろじて端だろう場所は見える
だが、見えてもどの程度広いのかが理解出来ない
そこに詰まった、チョコボ達
まぁ、詰まったは言い過ぎかもしれないが、どう考えても
「こりゃ、増えすぎだな」
チョコボの群れに、当たり前の言葉しか出てこなかった

元々チョコボってのは野生のモンスターだ
元々生命力の強いモンスターに餌を与え、捕食するだろうモンスターから守ってやれば
そりゃ、増えて当然
考えてみりゃ───考えるまでも無く当たり前の事
まずはこれ以上不必要に増えないように管理の徹底
………ってのが誰かの意見で行われた
そして今現在増えたチョコボの対応
まぁ、いろいろ思い浮かんだ事があるが
それほど大きな反対もされず、やってみたら適度に使えたってのが、移動手段としての利用
曰く、人に懐きやすい
曰く、足が速い
車よりも安定と積載量に欠けるが、悪路での汎用性が大きい
そんな利点が受けて、少人数での移動なら、車よりもチョコボが使われる事が次第に増えて来た
増えたチョコボの利用方法が決まり、安堵するとともに、不必要に増やさないよう国内のチョコボの管理を"国"が行うことが決まった

街と街を繋ぐ道
都市部から離れた村々
様々なところでチョコボに騎乗する人を見かけるようになった
いつの間にかそれが当たり前になり
国内だけで無く、国外からの購入者が増えたことにより
チョコボの育成が一つの産業になったのは、それからまた数年先の出来事

 End