わかりきった真実

「考える力が無いんだよ」
あいつ等が上手く立ち回れない理由
“バラムガーデン”っていう存在が消えようとしている理由
現在の状況を把握するだけの力が無いから
これからの未来を予測する事が出来ないから
「疑問を感じる事が出来ねぇんだよ」
今のバラムガーデンの上層部はSeeDの奴等が占めている
あいつ等がトップに居る限り、現状は変わらない
なぜこんな状況になっているのか
どうすれば良いのか
そんな事を考える事は出来ない
「“疑問”を感じる事を教えられて無いからなぁ」
“SeeD”はなぜと問うべからず
………だったかぁ?
あいつ等は疑問を感じる事を禁じられている
SeeDはただ、与えられた任務を命じられた通りに遂行するのみ
言われた通りの状況になる様に考える事は出来るが
言われたことに対して疑問を持つことは許されていない
疑問を感じる事が出来ない様に調教されている
SeeDにはなれなかったが、SeeDになる為の教育は受けた
SeeDに任命された奴も何人も見てきた
………SeeDの任命式の様子も覗いたことがある
身近でみたからこそ自信を持って言える
「無駄だろうな」
あそこが変わる可能性
今の状況に気が付いて立場を変える可能性
はっきり言ってそんな可能性はゼロだ
まぁ、SeeDじゃない一般の学生が舵取りをすれば別かもしれないが
SeeDでない奴等は奴等でSeeDには逆らわない様に教育されている
まぁ、たまにそれに逆らう奴はいるけどな
そんな奴がそのままあそこにいるとは思えないよなぁ

同僚という名の諜報員が立ち去っていく
世間話を装って情報を収集に来た
なんて、体裁さえもとっちゃいねぇ
めんどくさそうにわかりきった事実を確認に来ただけの事
この程度の事、既に予想が付いているだろう
「未練なんざ残ってねーからなぁ」
戻って来いと言われて戻らなかったのは自分だ
ただの一般兵として働く今の自分も気に入っている
あそこでは学ぶ事の出来なかった“常識”
あそこでは教えられなかった“考え”
ただの兵士であろうと、状況を分析し考える事が必要
あそこでは教えられなかった数々の常識
あの場所がいかに歪んでいるのか、見せつけられた
「せいぜい高見の見物でもするさ」
バラムガーデンが無くなるのは時間の問題

 End