| 
これくしょん?
 
  
 
 密やかに仕舞い込まれた武器の数々
 一つ一つ丁寧に置かれたソレは一つ一つが丁寧に手入れされていて………
 初めて目にした時、何故か呆れた
エスタ大統領官邸の地下、倉庫の奥にある無機質な扉
 足を踏み入れる事も無いその場所に扉がある事に気が付いたのは、扉が閉じきっていなかったからだ
 深い意味は無く、扉へと近づき垣間見た部屋の中
 そこにあるものが何なのか理解する前に、手は扉を大きく開けはなっていた
 整然と並べられた武器の数々
 ラグナが幾つかの武器を持っていたのは知っていたが
 「こんなに集めてどうする気だ?」
 場所が場所だけに、何か事が起きたときの為の兵士達の装備ではない事は確かだ
 ここを使うのはラグナとキロスやウォードくらいになる
 揃えられた武器の数々は、数十種にも及んでいる
 3人で使うにはどう見ても多すぎる
 それに―――
 「………誰が使うんだ?」
 壁に置かれた特殊な形をした長剣やケースに収められた短剣
 3人が使ういずれの武器にも当てはまらない
 ―――ここに在っても無駄なモノ
 そんなものが幾つも並んでいる
 スコールの手が一振りの剣を取り上げる
 引き抜いた刃が鈍く光る
 磨き抜かれた刃
 「………コレクションか?」
 使うことなくただ飾って置くだけの装飾品
 スコールはきわめて無駄な事だと思うが、そういう趣味もある
 「んー、ある意味そうかもなぁ?」
 元の位置へと剣を置くのとほぼ同時に、背後からラグナの声が聞こえた
 兵士や傭兵―――
 呼び方はどうでも良いが、軍組織に所属しているならば、メインとなる武器の他にも武器を持っているのが普通だ
 一般兵ともなれば、武器は画一的に支給される事がほとんどで、個々人の得意とする武器、なんてのを考慮される事は少ない
 だからこそ、兵士は様々な武器の扱い方を叩き込まれる
 一般的な武器ならどれも一通り使える、兵士ってのはそういうモノだ
 ついでに言えば装備も大抵、メインの他にサブを持ってる
 ………そういうものだと思ってたんだけどなぁ?
 なんとなくそんな気はしていたが、SeeD―――ってよりガルバディアガーデン―――ではそれぞれが得意とする武器にのみ絞って訓練が行われているらしい
 まぁ、どれが向いてるかどうかを知るために一通り扱う事はあるみたいだけどな
 少人数での任務が多いからだって話を聞いた事はあるが………少人数なら尚更その辺りを気をつけないとまずいって気がするんだけどな?
 各国の軍の標準装備に対してのスコール達SeeDの感想を小耳に挟んで思ったのはそんな事だった
 その時々に併せて武器を変える
 実際に使う目的で置いてあるといったラグナの言葉
 幾つかの武器を手にしてみせたラグナの様子は、確かに使い慣れてない感じはしない
 「まぁ、確かにあんまり使う機会も無いものだし、コレクションって言えなくもないんだよな」
 整然と並べられた武器を目にして、楽しそうにラグナが言う
 ―――コレクションだな
 スコールはため息と共にラグナを置いて部屋を後にした
  
  End 
  |