チョコボパークへようこそ


 
ある日紛れ込んで来た一通のチラシ
―――チョコボパーク開園のご案内―――
楽しそうな誘い文句に
“今度行ってみよう”
幾人もの人が心を躍らせた

「チョコボパーク建設願いだそうだ」
………チョコボ?
仕事の合間の休憩時間、不意の言葉にラグナは問いかけの視線を向ける
「ああ、チョコボ牧場の方からの申請ですね」
幾人かが、既に話を聞いていたのか、判った様に頷き話を進める
牧場?
そういや、あそこもチョコボの育成が順調で、順調すぎて困ってるって話だったか?
飼育員の腕が良いのか、環境がチョコボに合っているのか
軽い気持ちで預かっていたはずのチョコボがいつのまにか倍以上に増えている
そんな話を聞いたのは、既に数ヶ月前の事だ
「んで、チョコボパークって?」
「なんでも増えすぎたチョコボの有効な使い道と言うことで、チョコボとふれあい、楽しむテーマパークといった話だったな」
チョコボとのつきあい方と言えば、車が利用出来ない場所や遠出の際の足として乗用とするのが主な目的
チョコボを飼育して食料とする
なんて話は一度も聞いたことは無い
「あんまチョコボの利用率ってないからなぁ」
エスタでは、人々の足として当たり前の様に機械が利用されている
そして、発達した機械技術は、チョコボでなければ侵入不可能な地というものがほぼ存在しない
奥深い森の中ならチョコボの方が便利だろうが、そもそもそんな場所に用事がある人はほぼ皆無だ
チョコボ牧場―――あんまり意味の無い施設
今までだれも何も言わなかったが、考えてみれば無駄な施設と言えるかもしれない
「だから娯楽としてチョコボを活用しようということらしい」
チョコボの娯楽かぁ
………そう言われても、いまいちピンと来ないが
「まぁ、いいんじゃねーの?」
やってみたいっていってんだし
どういう物になるかはわかんねぇけど、娯楽が増えるってのは悪い事じゃないはずだし
「それでは、そういうことで計画を進めます」
妙に張り切った元気な声が返事をした

そして月日が流れて
「チョコボパークが完成間近だそうだ」
そう聞かされたのは、1年近い時間が過ぎて、そんな話があった事も記憶の彼方になった頃
「―――ああ、そういや………できたのか?」
ラグナの問いかけに、幾人かが一斉に首を縦に振る
普通どんな施設でも、完成までの間に噂の一つや二つ、耳にする機会があるものだが、コレに関しては、今の今まで全く何一つ聞いたことが無い
………大丈夫なのか?
「実際に目で見るべきだな」
問いかけの視線に帰ってきたのはそっけない言葉
「そりゃ、まぁソレが一番確実だけどな………」
数日後、知らない間にこっそりと造られたチョコボパークへ、ラグナは足を運んだ

楽しげな音楽と雰囲気
色とりどりの建物とにぎやかなチョコボの出迎え
チョコボと共に楽しむ様々な遊びに訪れた人々の歓声が上がった
 

 End