視線


 
人の視線を感じる
いろいろあったお陰で、他の人よりもチョットだけ気配には敏感みたいだから
良くあることって程では無いけれど
それなりに良くあること
気づいていないふりをしながら、さりげなく視線の主を探す
――――――
相手を見つけるよりも早く、視線がはずされた
わりとあっさりとはずされた視線に、僅かに戸惑う
………嫌な感じはしなかったし、気にする事でもないかな
内心首を傾げたけれど、その時はそんなに気にしていた訳じゃなくて、すぐにその事は忘れてしまった

………あ、また
視線を感じた
今までも何度か感じた、主の解らない視線
相変わらず視線自体に嫌な気配は少しも感じない
でも、好意と受け止めるにはあっさりしていて………
「………………」
視線が消えるよりも早く、不意にため息が耳を打った
慌てて隣を見れば、
不機嫌そうな顔をして、背後を見ているスコールが居る
背後―――多分視線の主がいた方向
何でもない、そう言いかけたスコールの腕を私はしっかりと握りしめる
考えてみれば
―――考えてみなくても
SeeD、そう呼ばれる子供達は皆気配に敏感だった
私が気づく視線にスコールが気が付かない筈がない
「………誰?」
私の問いかけにスコールはほんの少し考えるそぶりを見せる
「“誰”と聞かれても困る」
知り合いでも何でもない、名前も知らない相手
そう答えるスコールの様子は本当の様に見えるけれど、さっきのため息には感情が入ってた
だから多分、知らないけれど知っている人
それなら、次の質問
「それじゃあ、どういう人?」
「多分、あれは………」
躊躇いながらスコールが考えても居なかった言葉を口にした

相変わらず視線を感じる
ほんの一瞬だけの視線
いい加減慣れたその視線に私は気づかないふりをする
 
 

 End