自彊


 
銃を構える
指先がトリガーを引く
慣れた、衝撃
耳に聞こえる軽い音

深夜
人目に付かない場所で、幾度と無く銃を構える
もしも、に備えて
………そんな事態を起こさないように
二度と、失う事の無い様に………
幾つもの願いと共に、繰り返す行為
決して、衰えたりしないよう
決して術を失うことのないよう
人知れず続けられる行為

やがて手が止まる
短くは無く、長くも無い時間続いていた銃声が止む
辺りを硝煙が漂う
銃弾の跡と幾つものモンスターの姿
自らの周囲に倒れた姿へ視線を向け
地面へと視線を落とす
―――訓練終了
脳裏に一言無機質な言葉が浮かぶ
遙か遠い昔に聞いた気がする言葉
あの時からどれほどの時が流れ―――
失った物と取り戻した物
失うなどと、考えもしなかった大切なもの
もう二度と―――

幾夜となく続いた後悔
そして、刻み込まれた誓い
人目を忍んだたった一人だけの訓練


 End