必要不可欠?


 
呼吸を整えて、武器を手にする
手にしたソレに異常が無いことを確かめて、構える
「SeeDってのは、そういうのに一生懸命だよな」
「………そういうの?」
突然の言葉に聞き返した言葉に返事は無く、
「ま、SeeDだから当たり前、なのかもしれないけどな」
一人納得した様な言葉を呟いて、そこでそのまま会話は途切れた

SeeDに求められている事の第一は戦闘能力
依頼内容のほとんどは、敵の強弱はさまざまでも戦う事が前提とされていることが多い
戦う事を前提としていない依頼なんていうのは、どこかの物好きな金持ちと、極一部の変わった知り合いくらいだ
よって、任務が入ったとなればどれほどの戦力が必要なのか
どのような戦術が必要なのか、考えることが重要になる
そして、時には極一部の者を除いて、どんな武器を使用するべきか選ぶという作業が追加される
多少の違いがあるとはいえ、SeeDの仕事はおおむねこんな感じで始まる
だから多分、必然的にSeeDの日頃の行動は似通ってくる

1.武器を選ぶ
「―――グリップの形状をもう少し………」
「材質の方はどうです?」
「もう少し硬くなれば助かる………」
―――新しい武器の発注
新しい形状と、新しい機能をつける事
別に正式な手続きを踏んで
正式な依頼での注文だ
どこの誰からも文句は出ないことだが………
たまたま訪れたこの開発所で、武器の発注をしているスコールに出会ったのは偶然
双方の許可を取り、興味本位で席に同席したのはつい先程の事
「………結局頼むのはガンブレードなんだな」
“新型の武器”というからどんなものかと思って同席してみたが、目の前にあるのは“バージョンアップした”ガンブレードだ
サブウエポンとしての武器
なんていう言葉も聞いた気がしたけど、そういうのって普通別種の武器選ぶよな?
っていうか、普通こういったのは、スペアっていう気がするんだけどなぁ
熱心に打ち合わせをする彼等に気づかれないようなラグナは小さくため息を吐いた

2.戦闘訓練
「モンスター討伐?」
エスタ北西部のモンスター討伐をしたい、とエスタ政府に申請が入ったのは先程の事
「危険なモンスターを排除してくれるってんなら別に断る理由は無いけどな」
そう言って、許可を出したのはほんの今の事
「ところで、申請者って誰だ?」
そう聞いたのには意味はない
ただ、口についただけの意味の無い言葉
「バラムガーデンの“SeeD”です」
「わざわざ訓練に来たのか」
ご苦労な事だな、なんて思っていると
「………あの、申請がもう一件提出されたそうです」
絶妙のタイミングで言葉が割り込んで来る
どうしましょう?なんて聞かれてもな、一方に許可して一方に許可しないってのはおかしいだろ
ラグナの言葉に一つ頷いて、許可が伝えられる
「………そーいや今のも?」
今更の質問には無言の肯定
まぁ、好きこのんでモンスター討伐なんて事をするのは彼奴等しかいないけどな
そう納得して仕事に戻って、それから数分後―――
同じ内容の申請が繰り返される
幾度目かの返答を伝える声を聞きながら
「全員でいっぺんに来ればいいだろうが」
ラグナは窓の外を見つめ、小さくぼやいた

その他もろもろ、それらは全部“任務”の為に必要な行動
“仕事”の為の下準備
だから、彼等の行動が似通ってくるのは極当たり前の事
 

 End