相容れない存在


 
F.H.
ある種の世捨て人達が住む所だ
彼等の存在はエスタは快く思っていない
―――なんてことは全く無くって、はっきり言って彼等の事はこっちからしてみればどうでもいいってのが事実だ
そもそも彼等がエスタを離れていったのは随分前の事
“魔女戦争”なんて代物が起きる前の話
エスタに残っている資料に依れば、鉄道建設に関わった人間の内、そのままエスタに戻らなかった奴等って事だ
………そもそもソウじゃなかったら、あんな場所にあんなモノ造って居座るなんて真似出来ないだろ
だから“魔女アデル”もあそこの事はほっといたんだろう
あの当時に逃げ出したとかなんとかいうならそれなりの制裁は加えられていた筈さ
………多分な
だからな、F.H.の奴等がエスタに対して何を思っていようとソレはそれ、個人的な感情の集まり
ま、エスタ側としての見解はそんな所だ
戦いが嫌いだとか
エスタが嫌いだとか
そんなことはコッチには全く関係の無い話
だから今更訳のわからねー話をされても困るんだよな
ラグナのそんな考えはきっと、その場にいた全ての人達の意見だっただろう

F.H.
昔エスタから独立した人々が暮らす土地
主な産業は、機械技術
その他は立地を利用して海産物が採れる程度
1つの小さな町がそのまま国という形態を取り
政治機能も軍事機能も特にあるとは言えない
一貫した平和主義を謳っている

F.H.
あの場所にはあまり良い印象は抱けない
ガーデンに属する者は大抵がそう思うかも知れない
町に住む人々は変わってはいるが、悪い人達ではない
だが“駅長”と呼ばれる人に対する印象は決して良くはない
それも一時の感情として切り捨てられるとしても
あの場所は確かエスタともどことも関わりの無い一つの国だと明言していた筈だ
どことも関わる事無く静かに生きていくと宣言していた
「お引き取り願えますか」
SeeD達は冷ややかな目でそう告げた

F.H.
エスタが動きだした事により、この地は危機に陥っていた
産業は技術者達の腕
何かを造る為の物質も何もこの場所には存在しない

「現在の状況がエスタの責任だって言うのは、言いがかり以外のなんでもないだろ」
エスタのせいで自分達の技術を生かす場が無くなった
F.H.の言い分に耳を傾ける人間がいる筈もない

「援助しろって言われても、ガーデンは何でも屋ではないのよね」
一部何でも屋のようになっている側面は在るけれど、それは正規の仕事を引き受けた際の副産物に過ぎない
ガーデンはあくまでも戦いのプロ
非暴力主義を掲げているF.H.とは相容れない存在の筈
そのガーデンに助けを求めるなんて、普通考えられる様な事ではない
ガーデン創設の際建物の修理を行っているが、それはまだどんな組織になるか解らなかったからという事も考えられる
けれど………

「あまり賢いとは言えないよな」

「何も考えていないって事だろ」

離れた場所で片方は呆れたように、片方は嫌悪するように言葉が吐き出された

 End