予測外のこと


 
目が覚めたら辺りが暗くなっていた
………あんま認めたくないが、これ位ならよくあること
だが
ねじれた身体
様々な場所が何か硬い物に接している
「どうなってんだ?」
暗闇に慣れてきた目が、どうやら今居る場所自体がどこか狭い場所だって事を伝えている
手探りで辺りの様子を確かめる
うーん?
少し力を込めると、硬い板らしき物が僅かに浮き上がる
閉じ込められたって訳じゃないみたいだな
「っと」
強い力を込めて、起き上がる
大きな音を立てて、何かが落ちる音がした

物置の片隅
良く思い出してみれば、この場所に来た覚えはある
目的のものを探していて
置いてあるはずの場所へたどり着くことが出来なくて、仕方なく整理を始めた記憶もある
そこから後の記憶は………
「………寝てたってことか」
覚えていないってことはきっとそうだろう
「ま、閉じ込められなくて良かったよな」
閉じ込めていたのは、どこかから落ちてきたらしい馬鹿でかい絵
中途半端にいじったせいでバランスが悪くなっていたって事だろう
「当たり所が悪かったら、洒落にならない事態になってたよな」
ここに居る事を知っている人は残念なことにいない
ま、何時までも姿を現さないとなれば、捜索の手は伸びるだろうけどな
「さすがに、ここは探してくれそうもないよなぁ」
そもそも、こんな場所があること自体、知っている奴はいないかもしれねぇ
「危うく、遭難するとこだったぜ」
ラグナは辺りに散らばった荷物を移動させながら扉へと近づいていく
「………お?」
移動の途中、側に落ちていた品を取り上げる
「こんなとこにあったとはな」
探していた目的のもの
背後に一瞬視線を移して、視線をそらす
「ま、後でいいか」
荒れた室内の背を向け、ラグナは扉を閉じた

「あれ、家にいたんだ?」
エルオーネの言葉にラグナは苦笑する
家にいたこと自体知られてないんじゃな
「本気で遭難しなくて良かったぜ」
呟いた言葉にエルオーネが不思議そうな目を向けた
 

 End