質問


 
その日届けられた郵便物の中に紛れ込んでいた一通の封書
「………アンケート?」
表記された文字に顔をしかめる
「前に似たようなもんを見たよな」
ため息と共に零れ落ちる言葉
手にしていた封書をテーブルの上に投げ出す
相手をする必要はないよな
しばらくの間その用紙はそのまま放置されていた

「アンケート用紙?」
テーブルの上を片付けていたエルオーネが一枚の紙を手にする
「………うん?」
ラグナの手に用紙が渡される
紙の上に記述された文字へと目を通す
「そういや、あったな」
アンケートの内容があまりにばかばかしくてそのまま放置し、あったことさえも忘れていた
「こういうのって、誰が何のために考えるんだろうね」
エルオーネの目が面白がっている
「さぁな」
今までも、幾つかのアンケートが送られて来たことがある
そのうち真っ当なものは幾つか答えたことがある
あるんだが………
答えながら、アンケート項目へと目を通す
聞いたところでなんの参考にもならないだろう内容
「それで、こんな内容誰が知りたいんだろうね」
「だな」
普通のアンケートは仕事に関することか個人に関する質問が書かれている
エルオーネが積み重ねられていた紙の中から封筒を取り出す
「………宇宙研究所?」
「は?」
エルオーネの言葉に気の抜けた声があがる
「これ」
差し出された封書の隅に書き込まれた名前
「書いてあるな」
確かにそう書いてある、が
「そんな機関聞いたことないぞ」
「民間の機関なんじゃない?」
民間にもそんなのは無いと思うんだけどな
「でも、宇宙研究所なら、質問の内容も少し納得できる、かな?」
エルオーネが曖昧な笑みを見せる
「納得したくねぇけどなぁ」
視線を落とした先には
“宇宙人はいると思いますか”
の設問と
“宇宙人に会ったことはありますか”
の設問が並んでいた

 End