目撃


 
街中を兵士達がせわしなく動き回る
「不本意ではあるが、宿に閉じこもっているのが一番安全なようだ」
窓の外で、さっきだって兵士達が民間人らしい人へ手をあげるのが見えた
!!
「気持ちはわかるが、今は見ないフリをするんだ」
気がつかないうちに乗り出していた身体がキロスの手によって阻まれている
「……わかりました」
唇をかみしめ、見守る視線の先で、少年の身体が解放される
何かを言い捨て、歩き去っていく兵士の後ろで
少年が笑みを浮かべた
「………何かありそうだな」
少年の様子に気づいたらしいキロスの呟き
「……あいつ………」
立ち上がり、こちらを向いた顔にスコールは見覚えがあった

バラム国内、バラムガーデン付近
2人の青年が、ガーデンへと続く道を歩いていた
「この光景も久しぶりだな」
遠目からも良く見えるバラムガーデンの姿
「そうだな、卒業して………あの日以来、か」
近くて遠い昔、たった一つの疑問を胸にこの場所を出発した
「さて、ここからが問題だ」
バラムガーデンの敷地へと続く一筋の道
各所に配置されて居る警備員の姿
「すんなり入れるなんて事はやっぱり無いだろうな」
「俺達を覚えてる人間でも居ればどうにかなりそうだけどな」
二人の姿を認めた警備員が、道をふさぐように身体を動かす
「ま、なるようになるさ」
彼等は、昔と同じ言葉を呟きながら、ガーデンへと足を踏み入れた

「確かに、列車が爆破された、ということだったな」
駅から駆け抜けていった少年達の姿
彼等の先頭に先ほどの彼の姿があった
「………考えられない事ではないな」
スコールのみが見かけた、ほんの僅かの間の光景
それを疑う事無く信じ、キロスは一つの結論を導き出す
列車の爆破は彼等の仕業である、と
それぞれが想いの中に沈み込み訪れた静寂の時間
「大統領の目的が何であるか、本物がどこに現れるのか、彼等が知りたいと思うことはソレだろう」
真実大統領を狙っていたのだとしたらその情報が何よりも欲しい
「……そしてそれを知る事ができた?」
情報を入手する事ができたというのならば、あの笑みの意味も納得することが出来る
「そう考えるのが当然だ、な」
言葉を続けながらキロスが立ち上がり、出かける支度を始める
「それと、もう一つ重要な点がある」
一介の市民に大統領専用列車を爆破するなどという作戦が実行出来るはずは無い
たとえ、ソレが偽物であり囮として用意されていたものだったとしても、だ
となれば、戦略に長けたプロが関わっている可能性が高く
「SeeDが絡んでいるかもしれない?」
「その通りだ」
キロスの手が部屋の扉を開けた

「私は大統領の件を調べてこよう、君は、あの少年の方を少し探ってきてくれるかな?」
別れ際の言葉に従いスコールは、ティンバーの街を歩いていた
さんざん歩き回って結局たどり着いたのは駅前
そして
急停止した列車から飛び出してくる数人の少年少女の姿
先日と似た光景の中に、彼等が隠し持つ武器が確かに見えた 


To be continued

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