戦闘


 
サイファーの声につられ、背後へと視線を向けた瞬間
耳慣れた銃器音が辺りに響いた
「うわっ」
反射的な悲鳴と共に飛び退いたゼルの遥か頭上、梃子摺っていたモンスター達へと弾丸が撃ち込まれていく
慌てて視線を向けた先
マシンガンを手にした少年の姿が見える
弾が打ち出される反動を感じさせない様子
やっぱりな、素人じゃないか
冷静に銃を撃つ様子にゼルは拳を固め、モンスターへと向きなおる
すぐ側に、彼を睨むように見ているサイファーがいる
サイファーが居る限り、背後から狙い撃ち、なんてことはないあり得ないしな
逃げまどっていた筈のモンスターがその体勢を崩す
ゼルはその時に備え、軽くステップを踏んだ

宙を移動する敵に向かい照準を合わせる
連射音が辺りに響く
今居る場所へ向けてではなく
ほんの少し先読みしたその場所へ、モンスターが居るその周辺へ
マシンガンの特性は、連続して弾が打ち出される事
『動きを封じる事に重点を置いた方が良いな……』
引かれたままの引き金は忠実に弾を発射している
『逃げ道を無くした時が狙い目……』
誰かの言葉と自分の思いが脳裏で重なる
逃げまどう宙の敵が、一カ所に集う
ほんの一瞬の静寂
軽い音が耳を打ち
連射音と共に、空中を飛ぶモンスターが崩れ落ちる
時間にしてほんの一瞬の出来事
崩れ落ちたモンスターの姿を確認し、スコールは手を降ろした

気にいらねぇ
モンスターを一掃し、まるで自分の役目は終わったとばかりに銃を収める様子にその思いを強く感じる
マシンガンを撃つ際の構えも、腕も確かなモノだった
出しゃばろうと思えば、幾らでも出来たって訳だ
気にいらねぇ
何事も無かった様な顔をして、車へと戻っていく
後は任せたとでもいうつもりか?
大きな感情の起伏を見せない様子は、自分達と同じように訓練を受けているってことの証明だ
彼奴等には、何か秘密がある
そう感じた直感も捨てたモノじゃねぇってとこか?
地に落ちたモンスターが倒された事を確認し、サイファーはゆっくりと、車へと足を向けた
 

 To be continued
 
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