ガルバディア


 
駅や街を彩る街灯の明かり
控えめとも言える光は、慎ましく辺りを照らしている
「……とりあえず行くか」
何処へとも言わずオルロワが歩き出す
「とりあえず、人が集まる所がセオリーなんだけどな……」
口の中で呟く様に囁く言葉
「……………」
セオリーって、一体何のセオリーなんだろうか
返事を求められてはいないらしい言葉に、答える言葉が思い付かないスコールは言葉を返すのは止めた
「お、良い物が在るな」
楽しげなオルロワの視線の先に、1台の車両が近づいてきた

数分後
駅の構内から、SeeD達が急ぎ足で現れた
気だるそうな3人と、どことなく心配げに話し掛けるメンバー達
「ったく、いったいなんだってんだ」
吐き捨てる様に乱暴な言葉
「でもさ、あれって………」
「詳しい話は後にしましょう、今は急がないと」
慌ただしい声と共に、話をしようとする彼等をキスティスは停留所へと追い立てて行く
急いでるのは判るんだけどよ、どうも気になるんだけどな
突然意識を失うようにして眠り込んだ間に見た夢の内容
あれは、絶対キロスだったんだけどな……?
「……………ま、いいか」
ゼルは釈然としない気持ちを抱えながらも、先を行く彼等の後を慌てて追った

道の左右に建つ巨大な建物
すぐ側まで張り出したそれは、どこか圧迫感を感じさせる
石畳の道、石造りの建物
出歩く人でごったがえした歩道
雑然とした雰囲気を受ける
「……とりあえず宿を確保するか」
感じた事の無い雰囲気に戸惑っているスコールの至近でオルロワが足を止めた
彼が足を向けたのは、メインストリートに面した一件のホテル
「とりあえず今日はここってことで……」
古い扉が、滑らかに開いた

とりあえず寝る場所くらいは確保しておこう
そんな軽い気持ちで入ったホテルが大当たりだった
ホテルに備えつけられた古びたバー
チェックインの際、ふと視線を向けたその扉の先にこれから探しに行くはずの人物が居た
「………………」
とっさのことになんと言って良いか判らず立ちつくすスコールの背後に視線を移し、キロスが黙り込む
開いたままの扉から、静かな音楽が聞こえてくる
ゆっくりと閉じる扉と共に、ゆっくりとキロスが近づいてくる
手続きを済ませたオルロワが顔を上げ、背後のキロスへと視線を移動する
お互いの間に生じる、僅かな沈黙
「何かトラブルが起きた、という事かな?」
そう言ったキロスの声は、なぜか楽しげに響いた
 

 To be continued
 
Next