空を裂く、爆音が聞こえる
空を行く、砲弾が見える
空を走る、幾筋もの白い雲を彼等は呆然と見送った
そして、彼等は彼等なりの行動を起こした

遠く上がる火花
視界を覆い尽くす煙
船上へと駆け上がったスコールの目に、ガルバディア船に追われる一艘の船が見えた
ただの漁船では無いらしく、逃走する船の方も果敢に応戦している事が解る
ガルバディアの軍船に細々とでも対応出来るという事は、それなりの組織だった船であることは間違い無い
そのはずだが
「どこの船かな、あれは……」
「現在照会中ですか……」
目を凝らすスコールの背後から、キロス達の会話が聞こえる
あの船の形は、記憶するどの国の形にも当てはまらない
今現在表に出ていない国だと言うなら、残るはエスタと言う事になるが、自分達が知らないエスタ籍の船がある筈はない
とするならば……
「ガーデンというのは確かにあり得そうだな」
まるで頭の中を読んだかの様なタイミングでキロスが言葉を放つ
ゆっくりと振り返ったスコールの視界にウォードの姿が見える
「各ガーデンの資料も保存されてはいますが……」
「怪しい事には変わりはないが、逃げ出す必要は無いな」
そう、ガーデンに所属している船ならあんな風に有無を言わさず逃走する必要なんてないはずだ
………少なくても今の段階では
『情勢が変わったって話は聞いて無いな?』
スコールは状況の確認と、今後の対応を知るために足早に彼等の元へと向かう
同じように幾人かの軍人が、ウォードの元へと指示を仰ぎに向かっている
「本国の方からは特に連絡はありません」
「だがこの状況だ、下手に連絡を取るわけにはいかない、と考えている事も考えられる」
『噂の件もあったな……』
噂?
「それで、我々はどうしますか?」
咳払いと共に発言した船長へと注目が集まる
「まさかと思いますが、ガルバディアの奴等が戻ってくるまで大人しく待ってる訳では無いでしょう?今の内に逃げ出すのか、それとも彼奴等を助けてやるのか、どうすれば良いんです?」
「なるほど、確かに見物している場合ではなかったな、どうする?」
キロスが問いかける様にウォードを見る
自然にウォードに視線が集まる
『今はエスタに帰る事が最優先だ、さっさと此処を離れる』
了承の事と共に、不満の声が微かにおこる
『一刻も早く帰ってこいって言ってただろう』
「そういう類の事を言っていたな、確かに」
不満をとがめる様なウォードの言葉に、キロスが強調する様な言葉を続けた
けれど、その二人が視線を交わし笑みを浮かべる
「一刻も早く、最短距離でエスタに向かうとしよう」
至極当然という顔をして、追跡を続けるガルバディア船の方を指さした
 

 To be continued
 
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