事実


 
海に浮かび、流されるまま、ガーデンが進んでいく
シドの奴が客と話をしていて、操縦桿から手を離した間
サイファー達は、訳のわからない“マスター”などというくだらない奴の相手をしている間の事だった
「ふざけるなよ」
好き放題勝手な事を言った奇妙な生き物の事が思い浮かぶ
当然、あいつはぶちのめしてやったが、腹の虫がおさまらねえ
この苛立ちはそれだけじゃない
何だか妙なモノに姿を変えたアイツに手出しが出来なくなり、すっきりしない気分のまま、戻ってきたところで、シドの野郎にあったせいだ
『大変な事になりました』
ソレしか言う事が無いのか?
って位に聞き飽きたセリフを吐きながら近寄ってきた
そして、一方的な言葉、命令
―――いい加減にしろよ
苛立った気分の所に、妙な事を口にしながら、勝手な事を言うシドをぶんなぐったのは先ほどの事
マスターとやらのお陰でこっちは不信感を抱いてるんだ
どんなつもりで、何を考えていて、何をしようとしているのかは解らなかったが、どうせろくな事じゃねえんだろ?
少しばかり騒ぎが大きくなったところで、タイミングよくシュウの奴が駆けつけてきた
そして、順調に進んでいたガーデンの舵が効かなくなった
なんてふざけた報告をしやがった
気に入らなかったが、争っている場合じゃ無かったのは確かだ
仕方ねぇから、手分けして、原因を探って
修理できないかどうか検討して
……結局手の打ちようが無いままガーデンは、波に任せてどこかへと進んでいる
苛立った気分のまま、ガーデン内を歩き回る
ばかげた争いのお陰で、ガーデン内の所々が破損している
「………何処に行きやがった」
操縦桿の故障騒ぎの間にシドの姿が見えなくなった
逃げ出した訳じゃないだろうが
―――ここから逃げ出すのは物理的に無理だろうが
とにかく気にいらねえ
ノーグなんていうふざけた奴のお陰で聞きたい事は山ほどある
さっきは、邪魔されたが今度はそうはいかねえ
姿の見えないシドを探しながら、サイファーは保健室へと足を踏み入れた

相変わらず、ゆっくりと海の上を進んでいる
ガーデンが海の上を漂い初めて、幾日か時間が過ぎた
その間、近づいて来た船は一隻
“魔女イデアのSeeD”
彼奴等はそう名乗りやがった
現状を知っているのか、知らないのか判断出来なかったが、よりによって“魔女イデア”だ、事前に脅しつけてシドに話を聞いていなかったら、名乗った瞬間戦闘になっても可笑しく無かった
SeeD本人達に隠されていた存在意義やら役目
誰一人知る事のない設立目的
何のつもりだったのが知らないが、シドの奴が指揮官として無能なのは良く分かった
その上『知り合いだろうがどんな関係だろうが』等と都合の良い事を言っていながら、自分は情に流されようとしてやがる
つくづくふざけた奴だ
今現在ガーデンは魔女の命令により攻撃を受けている
その上、SeeDの存在は魔女を倒す為のものだっていうじゃねえか
利用されるのは気にいらねぇが、それならそれなりの対応をするだけだ
なんと言っても、向こうはSeeDを指名して来ている
身を守る為にも、全力を尽くすのは当然の事だよな
今後の事を考えるサイファーの耳に、乱暴なノックの音が聞こえた
 
 

 To be continued
 
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