トラブル


 
ようやく捕獲したシドを部屋の中に押し込んでから暫く立つ
部屋の中では話し合いが続いているらしく、外へ出てくる様子はない
「当分続きそうね」
どこか疲れた様なキスティスの言葉
「だろうな」
シドの奴は一筋縄ではいかねぇ
責任追及をした所でまともな返答が返ってくる事も無い
リノアの方も埒があかないからと言って素直に引き下がる様な性格もしていないしな
「まぁ、余計な仕事が増えなければソレで良いわ」
「めずらしいじゃねーか、あんたがそんな事を言うのは」
どんな些細な事でも、親身になって話を聞くってのがモットーだったんじゃなかったか?
「そうね………」
からかい混じりの問いかけに返るのは疲れたようなため息
「さすがに、答えを必要としていない質問は疲れるわ」
「確かにその通りだな」
窓の外に、波しぶきが見えた

「誰か、SeeD!…………今すぐ学園長室にっっ」
「サイファー、来!」
激しい雑音と共に耳に飛び込んで来た放送
騒ぎ立てる声が続き、不意に放送が途切れる
学園長室だ?
緊急を告げる言葉は、何かトラブルが起きた証拠
今学園長室は、操縦室に様変わりしている
「今度は、何だってんだっ」
次々と起きるトラブルに舌打ちしながら、サイファーは操舵室へと向かった

「何が起きたっ!?」
扉が開くと同時の問いかけに、返ってきたのは悲鳴
「間に合わないっ」
「早、回避」
「舵がきかないんだって!」
全面の巨大な窓から、間近に迫った街が見える
スピードを落とす事無く、吸い寄せられる様にガーデンが近づいていく
「どうにかならねえのかっ!」
次第に近づく街の中で慌てふためく人々の姿が見える
「どうにか出来るならどうにかしてる!」
舵に取り付いたまま、ゼルとニーダが怒鳴りあっている
「危険!」
「何があったの!?」
反応を示さない機械にサイファーが手を伸ばしたのと、風神の忠告の声と、部屋へと遅れて辿り着いたキスティスの声が響いたのと同時にガーデン全体を衝撃が襲った
床にたたきつけられる衝撃
金属が折れる音
近くて遠い人々の悲鳴
「大丈夫か?」
衝撃が消え、体を起こしたその目に、破壊された町の一部が飛び込んできた
 
 
 

 To be continued
 
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