語られない真実


 
静まりかえった室内に、とぎれがちな言葉が響く
問いかけに対する答えとは言えない答え
エルオーネという人物がどういった人間なのか、謎だと告げる
全ては“依頼”
そんな言葉を信用すると本気で思っているのか?
苛立ったような空気が辺りに蔓延る
過ぎていくのは、長く無意味な時間
「…………私達は真実が知りたいんです」
静かながら、怒りの籠もった声
それに続いて上がる言葉の数々
「SeeDは……」
「そんな言葉に何の価値があるってんだ?」
お得意の言葉
SeeDというモノにつけられた枷
そんな言葉にいちいち本気で従うほどバカじゃない
「これはSeeDの規則です」
この期に及んで都合良く操られる理由も無い
「そっちがそういうつもりなら、こっちにだって考えがあるんだぜ」
ガーデンはSeeDが居なければ立ちゆかない
だが、俺達がSeeDでいなければならない理由は何処にある?
身を守る為に戦わなければならないのなら、戦えば良い
どうせSeeDでいるのは後1年
それなら今やめた所で大した違いは無い
……多少金に困る位か?
「魔女に狙われてるのはガーデンとSeeDだ、俺達個人はなんの関係もない」
何一つ判断することが出来ない
残念ながらそんな都合の良い生き物とは違う
信用出来ない相手は信用するな
あらゆる関係の基本だ
「あんたの事はこれっぽっちも信用していないんだ」
一方的なやり取り
息詰めて見つめる視線を感じる
何かを言いかけたゼルが無理矢理口を封じられている姿が見える
ただの駆け引きだとでも思っているかもしれねぇが、こういったことは本気だから効果があるんだぜ
「なんてったって、魔女はあんたと夫婦らしいからな」
シドの顔が、目に見えて歪む
「……思い出したんですか……」
何の事だ?
聞き返そうとした言葉を遮るように
「忘れてなんかいないよ」
アーヴァインの言葉が重なった
 
 To be continued
 
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