理由と行方と


 
例え魔女が知り合いだと解ったとしても
その理由が解らないまでも
今ある現実はただ一つだ
「彼女の姿が見えなくなったのはいつ頃なんです?」
どんな力を持つかは解らないが、魔女が欲した力の持ち主
魔女の手に渡す訳には行かない
そしてもしかしたら、何かの手がかりになるかも知れない
「彼等が言うには………」
バラムガーデンにミサイルが飛来するよりも前
自分達がガルバディアに捕らえられていた頃
教えられた時間に、それぞれの口からため息が零れる
半端ではない時間の経過
その程の日数が経っているならば、ある程度何処へでも行けるだろう
―――ガルバディアの魔女の前にだろうと……
「彼等本人から話が聞きたいわ」
姿を消したという状況
彼女の周りで不審な事は無かったか
変わった事は無かったか
細々とした事の中に行方と原因が埋もれているかも知れない
「それと目撃情報だな」
自分の足で出ていったにしろ、誰かに連れ去られたにしろ、これだけ人がいれば誰かが何かを見ているかも知れない
「二手に分かれましょうか」
キスティスの言葉を合図に、それぞれが行動を始めた

夜の静けさの中、船内は何処か緊張をはらんでいる
キスティスは人影を求めてゆっくりと歩きながら、物思いに沈んでいた
無理もないわ
いつ来るとも知れない攻撃
“魔女”という恐怖の対象、存在
時折通路に見える人影は、何か怯えている様に見えて、声が掛けられない
声を掛けて、私が問いかける前に、質問をされたら?
その問いがどんな言葉で語られるものであっても、その内容が魔女や、ガルバディアに関する事だとしたら、私は質問に答える事が出来ない
知っている事は言えない事
そして、言える事は何一つ解っていない
もし、私の質問が先だったとしても………
窓の外に浮かぶ暗い海を見つめて、深くため息を吐く
ママ先生、魔女イデア、エルオーネ
子供の頃の時間と無くしていた記憶………
色んな事が一変に判明して、少し混乱している
………急がなくては行けない事は解っているけれど、今は少し考えるだけの時間が欲しい
状況を理解して、気持ちを落ち着ける為の時間……
通路の先、一人の生徒を掴まえたゼルの姿が見える
もう一度深いため息
迷ったり考えたりしている時間は無い
偉そうな事を言って、自信ありげに行動していたのに、今になってこんなにも弱気な自分が少し情けなくなる
今は、手がかりを探さないとね
……それから改めて、ゆっくり考えよう
キスティスは、ゆっくりと一人の生徒の傍へと歩み寄った
 

 To be continued
 
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