遠隔通信



 
作戦が功を成したのか
それとも何か理由があったのか
侵入を果たしたSeeD達は、抵抗する間も無く至極あっさりと捕らえられた
薬によって深い眠りの中にいる彼等は、エスタ市より離れた場所へ隔離させた
争う目的でエスタを訪れたとは思えないが、SeeDで有る彼等の目的がまだ判明していない事
…………そして、それ以上に、彼等が連れている人物が紛れもなく魔女であるという事
敵対していた筈の彼等がどういう経緯で共にいるのか、不明
何故、魔女を連れてエスタへと来たのかも不明
映し出されていた映像が見ていた限り、共に居る魔女が彼等と敵対していた様子はない
むしろ、信頼の上に成り立った協力関係の様にも見える
複雑な事情が絡み合っている気配がするが、迎える方としては、もしもの場合を考える必要がある
エスタから離した場所へと移したのは、その為の警戒
だが、個別に引き離す事をしなかったのは、それなりの好意のつもりだ
………好意を受ける相手が気付かなければ、それまでだが………
彼等を運び込んだ部屋の映像は、変わらない光景を映し出している
無駄に広い部屋の中にはエスタ兵の姿は無い
兵士に対する被害を防ぐため
それと同時に…………
映し出されていた光景に一つの変化が現れる
薬から覚めた一人が勢いをつけ起きあがっていた

「来訪者?」
機能だけは付いているが、長い間使われたことのない地上からの緊急連絡
どうしても、伝えなければならないことを強引に伝える為の手段
それが、ここ数日の間立て続けに使われて、今回で2度目
一度目の連絡の直後に訪れた子供達と感動の対面に忙しいラグナに変わり、キロスは職員達に呼び出された
送られて来た通信は、エスタに上陸した者が居るということ
そして、その相手が………
「成る程、なかなか大変な事になりそうだな」
辿り着いたのは、SeeD達にガルバディアの魔女
地上と宇宙の通信、そしてある巨大な仕掛けのお陰で通信出来る量は限られている
最小限の緊急事態のみを伝えてきた文面では残念ながら詳しい状況は解らない
地上から宇宙まで通信が届く時間
宇宙から地上へ返信が届く時間
もしくは、宇宙から地上へ帰還するのに掛かる時間
それらを考慮すると、連絡が着く頃にはSeeDと魔女はエスタに辿り着いている
その辺りの事を考えると、留守番中の2人に任せてしまった方が混乱する事も無いだろう
意見を聞くまでも無いとは思うが………
「ラグナ君に報告しておくか」
キロスは、手近な職員に帰還用意を頼み、足早にラグナ達の元へ向かった
 
 

 To be continued


Next