| 
会議3
 
  
  
 魔女アルティミシアと直接対峙したことは無い
 けれど、その姿は垣間見ている
 感じたのは恐怖、それは魔女に関する話を聞かされてきた結果だったのかもしれないけれど、熱狂的な人々の中にあって何の感情も見えなかった表情
 作り物の様な視線の不気味さ
 遠く離れていて、映像越しでさえ感じた不気味さ
 そんなさまざまな事を感じる事は出来た
 そして、映像が映し出した瞬間
 SeeD達を認識した瞬間に見せた何らかの感情
 真実は解らないけれど、それがスコールには憎しみに感じられた
「遅くなったでおじゃる」
 それぞれが何かを考え込んでいる
 そんな重い空気を突き破る様にして大声と共にオダイン博士が姿を現す
 「話は進んだでおじゃるか?何か新しい事は解ったでおじゃるか?」
 人々をかき分ける様にして、中央付近の席へと座る
 「特に何もないけどよ、何か解ったのか?」
 会議の記録を奪い取り覗き込むオダイン博士の姿に怯む事無く会議が再開される
 「大した事は解っていないでおじゃるな、ここはやっぱりオダインの出番の様でおじゃる」
 辺りの様子を気に掛ける事も無いままにオダイン博士の話が始まる
 「オダインが調べた結果色々な事が判明したでおじゃる」
 助手の1人が勢いのままに話し出そうとするオダイン博士の耳元で何かを囁いている
 「結論を言えば、未来の魔女アルティミシアを倒すしかないということでおじゃる」
 サイファー達の呆れた様な顔をしている
 「それは誰でもそう思ってると思うぜ問題はその先だ」
 いい加減オダイン博士に慣らされているエスタの人間と違って初対面だろう彼等には博士の話を理解するのは難しいかもしれない
 けれど、なるべく省略する様にアドバイスした所で、かえって解らなくなる様な気がする
 「勿論倒す方法は考えてあるでおじゃる」
 「ちょっと待った、その作戦をアルティミシアに聞かれたら意味が無くなっちまう」
 今は無事だとしても、アルティミシアと繋がっているイデアが此処には居る
 “魔女”を倒すに有効な手段があったとしても、ソレを相手に教えてしまっては直ぐに対策を取られる事になる
 「それはあり得ないでおじゃる」
 「何故そう言い切れるのです?実際に私はアルティミシアに………」
 「イデアはもう魔女では無くなったでおじゃる、ジャンクションする事はできるが、魔女の力を持たないイデアにわざわざジャンクションする理由がないでおじゃる」
 「魔女じゃないってどういうことなんだ!?」
 オダインの一言に会議室が騒然となった
 イデアから“魔女”としての力がなくなった事は本人が確認したところ事実だと判明した
 “魔女”の力は次の魔女へと継承され、魔女の力を無くしたイデアに利用価値が無い事を悟り、アルティミシアがアデルへと乗り換えたというのが今回のアデル復活の真相らしき事も推測された
 それなら、力を継承した魔女を何故アルティミシアがそのまま操らなかったのかという疑問とその新たな魔女が乗っ取られる事は無いのかという疑問が生まれたが
 「今の所は大丈夫でおじゃる」
 という自信に満ちたオダインの一言に理由を聞かないまま納得させられた
 そして、オダインの作戦が長々と語られた
 いやに長い話を要約すれば
 アルティミシアの存在する時代へと向かい直接アルティミシアを戦うという至ってシンプルな内容だ
 確かにアルティミシアと戦う為には、本物の身体を相手にしなければ意味はない、そして、わざわざアルティミシアが安全な場所から危険だと解っているこの時代へと姿を現す筈はない、それならば直接相手の元へというのは確かに筋は通っている
 問題は、どうやって自分達がその時代へ向かうのかということだが………
 「アルティミシアの行う時間圧縮を利用するでおじゃる」
 時間が圧縮された世界には過去も未来も存在しない
 未来に居るアルティミシアの元へも自由に向かうことが出来る
 ………理論で言えばその通りだ
 「上手く行くのか?」
 誰も見たことの無い世界
 誰もやったことの無い事
 上手くその状態に持ち込めるか何て事は誰にも解らない
 様々な危険を考えれば、簡単にやってみようなどと言うことは出来ない
 「大丈夫でおじゃる、ちゃんと証拠だってあるでおじゃる」
 オダインが得意げに胸を張った
  
  To be continued 
 Next 
 |