魔女アルティミシア8



 
身体に伝わる感覚が変わった
何かが可笑しい
目の前に在る幾つかの人影
まっすぐに私へと向けられた視線
前方へと立ちふさがる身体
煩わしさに腕を払い
いらだたしさに念を込める
簡単に倒れ伏す身体
それが立ち上がり
また、邪魔をする
何故私の邪魔をする?
強い感情が吹き荒れる
全身を埋め尽くしていく憎しみ
突然私を襲った衝撃―――痛み―――
瞬間全てが怒りに染まった

魔女の身体へとからみつく白い煙
四散するはずの煙は白く濁り魔女を捕らえる、動きが鈍くなる
言葉を交わすでもなく
合図を送るでもなく
絶妙のタイミングで、攻撃が放たれていく
魔女であったモノが血を流し、膝を突く
苦痛の声が漏れる
―――身も凍る様な絶叫
身体を貫くような声に、一瞬攻撃の手が止まる
ほんの僅かのその瞬間に、また魔女へと変化が現れる
苦痛と恐怖の悲鳴をまき散らしながら
嫌な音を立てて、魔女の身体が変わっていく
魔女が消え、何かへと変わっていく
「ぼやぼやするなっ」
変化に見入っていた耳に聞こえた声に我に返る
苦痛の声を上げる魔女だったモノへと刃が突き刺さる
反撃の手が上がらない今は、確かに絶好の機会
ぎりぎりの戦いの最中に躊躇っている余裕はない
この戦いは命以上、全てを賭けた戦い
目の前の敵を“倒す”以外の結論は許されない
幾つものモンスターが融合した形へと姿を変える敵へと幾度も幾度も繰り返される攻撃
耳に聞こえる音が、人の声では無くなった
モンスターの声、モンスターの姿
容赦の無い攻撃に揺らぎながら動き始める
見知ったモンスターの姿が色あせる
初めて見るモンスターが目を閉じる
「なんなんだよ、こいつ」
1つずつ変わる姿は
1体1体に1つずつ命が宿っていることを窺わせる
幾つのも命の固まり
1つ1つに個がある為か、ソレが自分たちが思う様に動けずにいることが救いだろうか
果てしなく続く戦い
「避けて!」
彼等が居なくなった空間にG.F.の魔法が叩き込まれた

体を覆う不可解な感覚
“私”を覆う不快なモノ
何かが少しずつ崩れていく
何かが可笑しい
何かが狂っている
ずっと前から
遙か遠い昔から
壊れていく
様々なモノがこぼれ落ちていく
 

 To be continued


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