英雄と墓標
(施設)


 
その施設は随分と昔からそこにあった
その施設は昔からそこにある事は知られていた
そこへと近づく事は遙か昔、禁忌とされていた
ずっと昔、限られた者のみがその存在を知っていた
人々はその場所へ近づく事をしなかった
長い間その地に住む者はその施設の存在を知っていた
知りながら、忘れていた
近づいてはならない場所、遙か昔、彼等はその理由を知っていた
少し昔の事
人々に一度だけその存在を思い出させる出来事が起きた
ただ一度だけ………
そして
ある時語られた言葉
それを機に、それの存在が学者達の元へと伝わった
―――ガルバディアの大地に在る古代セントラの施設
国中どころか、世界中へその情報が駆けめぐった
そうして、近づくことを禁忌とされた施設へ人が押し寄せた

その施設は入り口部分を残し、そのほぼ全体を地中へと埋めていた
初めからそうだったのか、長い年月の末にそうなったのか、知るものはここには居ない
生い茂った草木の中に隠れるように扉が見える
ここに施設が存在する事を知らなければ発見する事は難しかっただろう
調査に訪れた学者達は一様に思った
そして
この施設の事を知りながら報告しなかった住人に憤りを感じ、発見が自分たちの時代に成されたことに満足感を覚えていた
彼等の手によって、慎重に生い茂った草木が取り除かれていく
幾日もの時間をかけて現れたのは土に汚れた巨大な扉
不思議な光沢を放つ外壁
そして、壁や扉に無数につけられた傷跡
遙か過去の古い傷跡
彼等の口から様々な声が上がる
そして、誰かが扉を開けようとし、その扉が開かない事に気が付いた 
 

 
 
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