「夏の旅行って言ったら海だよな……」 窓の外、照りつける太陽を見上げ小さく呟く 暑さを逃れ、涼を取るための休暇 「……はぁ」 ラグナの独り言に、すぐ側に居た補佐官が曖昧な返事を返す 涼しんで来いと言われて、わざわざ暑い所へ行く気はしねーんだよなー どんなに人気があろうと、炎天下の元歩いたり、待たされたりする所は避けたい そもそも、そんな環境は、子供達が真っ先に音を上げる 「涼しさを求めるなら海か山ではありませんか?」 涼しげな高原と、冷たい水がよせる海 確かにどっちも涼しそうなんだけどよ 「…………この辺で、涼しさを感じられる高原なんてあるか?」 ただ“山”と言うならば、国土の北側にそれこそ山の様に存在する だが、その山々は…… 「確かに手頃な山は見あたらないな」 言葉と同時に。目の前に書類が積み上げられる ………………… 今は仕事をしろという無言の圧力を感じる 「でも、泳げるような海岸線もありませんよね?」 ため息と共に書類に手を伸ばしたラグナの耳に小さな呟きが聞こえた 灯りの消えた室内
―――今度の休みは海に行こう
休日の早朝
強く、弱く、繰り返される波の音
END
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