そわそわと落ち着かない風情で部屋の中を行ったり来たり 珍しく袖を通した正装は、あまり似合ってるとは言い難い 見慣れないっていう事もあるのかもしれないわね うろうろと目の前を行ったり来たり、何度も通り過ぎる姿 ―――やっぱり、似合わないわ 身体の動きを妨げる様に見えるこの服装は、やっぱり似合わない 「こういうのは、嫌いなんだけどな」 小さな声で告げられる言葉 立ち止まって吐く、長いため息 「そろそろ、諦めたらどう?」 これもあなたの仕事の一つでしょ? 「けどなぁ……」 私の言葉にようやくこっちを見たラグナが、情けない表情で何かを言いかけやめる そ、いまさら言っても仕方ないわ ここ数日、何度も繰り返されたやり取りの末、根負けしたのはラグナ自身 その結果の正装も、式典への参加もしかたのない事だと思うわ 記念式典への参加 信じられない話だけれど、 まだ、魔女の影響が残っているからとか 様々な言い訳をして、今まで公式行事への参加を拒んでいたらしい 「そうかもしれねえんだけどよ……」 弱い声と共にがっくりとソファーへと座り込む 復興した街、平穏と言える人々の生活 「いい加減覚悟を決めなさい」 笑いながらの私の言葉に、恨めしそうな視線 「楽しそうだな、レインは」 そうね、確かに楽しいわ それにそろそろ国民を安心させてあげる義務があるんじゃない? 「テレビで見てるわ」
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