休日の予定


 
今度の休みはどこに行こうか?
それはどこにでもある家族の会話

もうすぐ訪れる長期のお休み
友人達はそのお休みの間の計画を嬉しそうに話をしている
エルオーネは、会話に加わることなく彼女たちの話をただ聞いていたんだけれど
「エルは?どこに行くの?」
それは“当たり前”の問いかけ
だけど、エルオーネにはソレに対する返事を持たない
「うーん、マダ解らない」
だってね、“休み”がどうなるか解らないから
そもそも休みが取れるのかどうかだって解らない
別にいつも通りの何でもないこと
当たり前の事
なのに………
「あ、そうなんだ………」
彼女たちが気まずそうな、微妙な態度を取るから
だから何かが可笑しくなる
どこかぎくしゃくした空気のまま、お休みの話は終わった

「そう言えばそろそろ夏休みね」
カレンダーの日付を確認して
日が経つのは早いわね
なんて、レインが呟く
「お休み?」
スコールが“休み”っていう言葉に反応して、走り寄ってくる
「エルがね」
レインの言葉に、スコールの視線がエルオーネへと移動して
「なーんだ」
それから、つまらなそうに呟く
「こらっ」
スコールをたしなめるレインの声が聞こえて
それから………
「それじゃあ、そろそろ夏の計画を立てなくちゃね」
エルオーネに向かってレインがにっこりと微笑んだ

「あー夏休みかぁ」
ラグナはそういったまま、腕組みをして動かない
………やっぱり休みなんて無理だよね
“大統領”の仕事は忙しい
それ位、ちゃんやと解ってる
だから“無理しなくて良いよ”
笑ってそう言おうと思っていたのに、なかなか言葉が口から出てこない
「まずは北の森でキャンプだろ、遊園地とかも行きてぇけど、騒ぎになりそうだよなぁ」
いつもと変わらない明るい口調
え?
「まぁ、夏だからキャンプでも問題無いとは思うわよ」
ラグナの言葉がほんの一瞬理解出来なくて、とまどっている間に、レインが言葉を返している
思わず見たレインは、エルオーネに小さくウインクをした
………
じんわりと浮かぶ笑顔
「えーー、森の中よりも海の方が良いなぁ」
気がつけば、エルオーネは声を張り上げていて
「僕もっ」
夏の計画がどんどん決まっていった

「エルオーネはどこに行くの?」
先日と同じ言葉
幾人かが慌てたように、彼女の袖を引っ張ったけど………
「とりあえずキャンプに行って、海に行って………それからねぇ〜」
エルオーネは楽しそうに夏の予定を話し出した

「今度の休みはどうする?」
だけど、その言葉が家で出るのは珍しいこと
でもね、
だからね、絶対に裏切られることのないその問いかけはとっても嬉しくて
やりたいこと、行きたい所ををいくつも上げて、いつも時間が足りなくなる
でも本当は、どこにも行かなくても、ただミンナで一緒に居られればそれで楽しい
 
 

END