春の日差しが心地よい休日
目が覚めた時には朝どころがお昼の時間も過ぎ去っていた
寝過ぎたっ
焦りながら向かったリビングには１通の置き手紙とふてくされたスコールの姿
置き手紙は買い物に出かけるというレインとエルからの伝言
２人だけで買い物に行くことは数日前に聞いていた
昨日の夜もその事についてはちゃんと確認していた
今日の計画も立ててはいた………んだけどなぁ
計画を立てた所で実行しなければ意味が無い
「ごめんな、寝過ごした」
とたんに怒った様な強い言葉が返ってくる
けれど、覗き込んだ顔は今にも泣き出しそうだ
「ちょっと遅くなったけれど、これから出かけるか？」
問いかけの言葉にスコールが勢いよく頷いた

予定していた計画を実行するのには到底時間が足りない
仕方がないから今日の所は適当な所に行くことにして、特に目的も無く街中を歩いていた
「………腹減ったな」
考えてみればまだ何も食べていない
ふと零れた独り言に
「僕もー」
すぐさまスコールから賛同の声が上がり、レイン達が午前中から出かけたことを考えれば、スコールがお昼をまだ食べていないことに気が付き、慌てて辺りを見渡した
食事出来る所………
目に見える範囲で条件に当てはまる箇所はただ１つ
夜ならともかく昼間なら、大して堅苦しいことも言わないよな？
「んじゃあ、昼にするか」
スコールの手を引いてラグナが入ったのは、すぐ近くに在った１件のホテルだった

昼食の時間はとっくに過ぎて
夕食の時間にはまだまだ早い微妙な時間
ホテル内では“食事”よりも“デザート”の方に力が入っていた
『普通の食事も勿論行っておりますが―――』
申し訳なさそうな店員の言葉にそれなら別に構わないと告げたのはつい先程の事
そして、ホテルで良くある“ケーキバイキング”の様子に、スコールの視線が釘付けになった
そして当然の結果として
目の前に置かれたケーキの数々
それらを嬉々として食べるスコールを見ながら、ラグナは食後のコーヒーを啜った