おとうさんの日
惨事再び
なんて言葉が思わず思い浮かぶ
別に惨事なんていう大げさなものでもなく
再びって言わなきゃならない状態………ではあるか
耳に聞こえる音は、1ヶ月前よりは随分控えめだ
「レインがついてるもんな………」
この間はレインは入れてもらえなかったが、今日はそんなことは無い筈だ
とりあえず声だけでも掛ける事にして、ラグナは賑やかな声と音が聞こえる現場へと足を向けた
「多分、今日も大騒ぎになると思うのよね」
カレンダーを差し出しながら、レインがしみじみと呟く
「うん?」
差し出されたカレンダーが指し示す日付
その片隅に書き記された一言
「あー、そういやそんな日なんだなぁ」
街中に出かける事でもあればイヤでも目に付いたんだろうが、あいにくここの所そんな用事も暇も無かったお陰で、綺麗に忘れ去っていた
書き記されているのは、ラグナにも関係のある記念日というか行事の日
「今日は、私が一緒についていられるから心配は要らないと思うけど、一騒ぎ起きるのは確実だと思うのよ」
レインの言葉に、盛大に壊された食器と子供達の声
つい先日起きたばかりの騒ぎが思い浮かぶ
「確かにそうなりそうだよな」
帰ってきた直後に悲鳴を聞くなんて心臓に悪いよな
「だから、覚悟だけはしてきてね」
真剣なレインの表情に、ラグナは乾いた笑いと共に了解の意を示した
「はいっちゃダメーっ」
扉の内側から聞こえてきた言葉の二重奏
………解ってるけどさ、なんか寂しいぞ
お帰りの言葉も無く言われた言葉になんとなくダメージを受ける
「………とりあえず上に居るからな」
慌ただしい内側の様子を感じとりながら、レインに向けて一言告げるとラグナは自室へ向かう階段を上がる
あの様子だともう暫く時間は掛かりそうだよな
………………………
待っている間に何をしているべきか
幾つかやりたいことが思い浮かぶが、階下の気配が気になってしかたなくなる事は目に見えている
手頃な暇つぶしが思いつかず
………とりあえず寝るか
そのままベッドに転がった
賑やかな話と楽しげな笑い声
テーブルの上には、子供達の力作が置かれて
いつも以上に騒がしい食卓
はしゃいだ2人の子供達も充分騒がしいけれど
多分一番騒がしいのは、喜びに溺れかけたラグナ
………まぁ、嬉しいのは解るから何も言えないけどね
少しばかり疲労を感じながらもレインは微笑ましく目の前の光景を眺めていた
END
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