差し込む日差しに
穏やかな暖かさ
眠気を誘う室内から見た窓の外は、風に強く揺れる木々が見える
寒そうね
風が入ってきた訳では無いけれど、反射的に体が震える
………寒いわよね
風さえ無ければ外もきっと暖かい
けれど、強い風のせいで外はきっと肌寒い
「出かけたくないわね」
暖かな部屋と窓越しに届く温もり
心地よい状態に慣らされた体はここから動く事を拒否している
やっぱり動きたくないわ
───出かけないと
そう思って立ち上がろうとしたけれど、体が拒否している
さて、どうしようか
今日やろうと思っていたこと
外に出かけて済ませるはずだった用事
いろんな事を思い浮かべて
「今日は、いいかな」
今日じゃなきゃいけないものも
急がなければいけない用事も無いから
今日の予定は無かった事にしよう
「今日はちょっとおやすみね」
誰に言う訳でもないのにそう言葉に出して、力を抜いて深く腰掛ける
相変わらず窓の外は強い風
部屋の中には暖かな日差しが降り注いでいる
目をつぶって
「良い天気ね」
心地よい温もりだけを満喫する
今日するはずだった用事はいつするかとか
今晩の夕食はどうするのかとか
そういったことは全部後回しにして、今日はゆっくり休んでしまおう
何もしないで
ただぼんやりと過ごす一日
たまにはそんな日があってもかまわないわよね

穏やかな春の日の午後
心地よい日差しの中
ただぼんやりと過ごす至福の時間