大統領自らがいやがり、誕生日に関した行事はいっさい行われない
今日は国の正式な行事はいっさい執り行われない
純粋な休日の一日

それでも、様々な名称で様々な理由を付け、ささやかな行事を開く
長い間、この地に止めおいた英雄への感謝
長い間、自分たちの後始末を押しつけた大統領への陳謝
決して訪れる事の無い主役へと、ささやかな祭りを、精一杯の祭りを催す

早朝
各地の小さな広場に小さなテントが設営される
近所の婦人達が作った祝いごとの為の料理
男達が作った華やかな飾り付け
……一足遅く正月を祝うかの様な、ささやかで、華やかな飾り付け
小さな広場の真ん中に、子供達が花束を運んできた

昼
年老いたモノから、幼いモノまで
広場へと様々な人が訪れる
知り合いと交わされる穏やかな会話
共に食事をし
子供達はささやかな出店を巡る

夕刻
競い合うようにあがる花火
人々は、無口に空を見上げる
時々あがるのは歓声
暗い夜空を彩る華やかな色彩を眺めながら
人々はそれぞれの思いを巡らす

夜
年輩の者を、大人達を囲む様に集う子供達
やがて………
静かに過去の出来事が語られる
自分たちに降りかかった恐怖
他国の人々へ行った自分たちの罪
そして
決着と許される事の無い罪を……
静まり返った広場に静かな声が響く

深夜
ベッドの上で、それぞれは祈りを捧げる