誕生日の日、一番に贈りたい言葉
「おめでとう」

「ありがとう」

1月3日
この日は毎年恒例、家族で様々なお祝いを開く
今年はどんな事をしようか?
そんな相談をしたのは、年明け前の去年の話
気付かれないようにこっそりと進めてきた準備
ご馳走をつくって
プレゼントを用意して
こっそりと進めているお祝いの準備
だけど、幾らこっそりと進めていても、同じ家に住んでるんだもの気が付かない筈はない
私だけなら隠し通せたかも知れないけれど、幼い二人の子供には隠し通すのはちょっとだけ難しい
気が付いて、解っていても知らないふりをしてくれている
それが解っているけれど、それはちょっとだけ悔しいじゃない?
だから些細な事だけど1つだけ、驚かせる事を用意した
上手く行くかは不安だけれど
たぶん、きっと大丈夫
こればっかりは予測出来ないと思うわ

1月2日(夜)
いつもの時間、いつもの様に子供達が眠りにつく
おやすみの挨拶をして
ベッドに入って明かりを消して、いつもの様に聞こえてくる微かな寝息
いつも通り、変わらない夜
だけど
コレが作戦
これからが本番
子供達が寝静まった後は、いつもと同じ夫婦の時間
今日1日のたわいない出来事を話して
明日の、これからの予定を話す
いつも通り、いつもの会話
疑問を持たせないように
感づく暇が無いように
慎重に交わすいつもと同じ会話
緊張しながら会話を交わして
こっそりとタイミングを計っている
もう直ぐ時間
もう直ぐ12時
さりげなく席を外すタイミングが重要
あのこ達が素直に目を覚ましてくれるかどうか、そんな事まで考慮して
予定していたよりも、早いタイミングで席を外す
扉を閉めて、極力足音を立てないように努力して向かう部屋
3日に成るまで後少し
その瞬間に、みんなでお祝いの言葉を贈りましょう

「誕生日おめでとう!」
お祝いの言葉と共に、雪崩こむように抱きついた2人の子供達
驚いた様な、慌てたような声が聞こえる
2人の子供達とは違って、私はゆっくりと部屋の中へ足を踏み込む
「誕生日おめでとう」
まだどこか呆然としたような顔
―――それと、此処にいてくれてありがとう
にっこり笑いかけるとようやく嬉しそうな笑みを見せた
 

 

 

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